千葉豪雨、浸水想定区域内での死者9人…内水氾濫で住宅街にもリスク

13日夜の千葉豪雨の死者13人のうち少なくとも9人が、浸水想定区域内で水に巻き込まれたとみられることがわかった。亡くなった場所を自治体や警察、消防に取材し、自治体作成のハザードマップと照らし合わせた。専門家は、大雨の際に命を守るには普段からマップを確認しておくべきだと指摘している。(大治有人、大森遥都、住友千花)
9人の内訳は、千葉市5人、柏市、市川市、八千代市、佐倉市が各1人。柏市で犠牲になった70歳代女性のケースを分析すると、普通の住宅街でもリスクが潜んでいることが分かる。
女性は13日夕、夫と軽乗用車に乗っている際、柏市八幡町の住宅街の道路のくぼ地で水没被害に遭った。県の雨量データから、現場では1時間あたり100ミリ前後の雨が降ったとみられ、坂の傾斜に沿ってくぼ地に水がたまった。
近くの住民男性(66)によると、夫婦の軽乗用車は午後5時半頃、下り坂を走行中にタイヤまで水につかり、坂道を流れ下る水の勢いに巻き込まれて深みにはまったとみられる。夫は住民男性に救助されたが、女性は命を落とした。
市が1時間153ミリの雨による内水氾濫を想定して作成したハザードマップでは、現場の最大浸水深は「3メートル以上5メートル未満」。住宅街の中でこの場所だけ水位が高くなる想定で、地元自治会長の野尻勝利さん(83)は「大雨時には、この場所が特に危険だということを多くの人が認識する必要があった」と厳しい表情で語った。
千葉市の2人、佐倉市の1人も浸水想定区域内で車に乗っていた際に犠牲になったとみられ、千葉市の2人は中央区のアンダーパス2か所でそれぞれ亡くなっていた。ハザードマップでのアンダーパスの浸水想定はともに「5メートル以上10メートル未満」。京都大防災研究所の川池健司教授(防災水工学)は「自宅や職場など身近な場所の危険性を普段からハザードマップで確認することが命を守ることにつながる」と語る。
自治体が浸水想定作業を実施していない場所で亡くなった事例も1件あった。80歳代男性が路上で亡くなっていた佐倉市上志津だ。
市下水道課によると、市は2021年度にマップを作成したが、過去の台風や大雨被害を受けた場所を主な対象とし、被害がなかった上志津は「浸水想定区域外」としていた。西田三十五(にしたさんご)市長は20日の定例記者会見で「予想外の大雨が降った。被害状況を精査し、ハザードマップの見直しを検討したい」と話した。
千葉豪雨は20日で発生から1週間が経過した。県の同日午後4時時点のまとめでは、住宅被害は前日より865棟増えて3690棟。県は同日、県管理道路の放置車両93台の撤去が完了したと明らかにした。