疑惑否定してきた「県議会のドン」突然の退場、「説明」求める声…「真相解明に協力してもらわなければ」

金銭授受疑惑などに揺れる福岡県議会で、蔵内勇夫議長(72)が24日、議員辞職の意向を示した。蔵内氏はこれまで疑惑を否定し、議長を辞めても議員としては議会にとどまるとみられていた。「県議会のドン」の突然の退場表明に驚きの声が上がる一方、説明責任を果たすよう求める意見が相次いだ。
24日午前9時過ぎ、蔵内氏の議員辞職を伝える「議長コメント」が議会事務局から発表された。蔵内氏が議員辞職をするとの情報が県庁各所に駆け巡ったのは、そのおよそ1時間前だった。ある県幹部は、自宅でいつも通り出勤の準備をしていたところ、辞職の情報を耳にした。「また議長選挙も行わなければならないだろう。もう少し長く務められると思っていたが……」と困惑した様子だった。
蔵内氏の議員辞職の発表後に読売新聞の取材に応じた自民党県議団の渡辺勝将会長は、17日の臨時会で議長職の辞職勧告決議案の採決が緊急動議で中止されたことに触れ、「若手を中心に、動議への賛成で大変な思いをしている。いろんなことを勘案して決断されたのだろうから、重く受けとめたい」と話した。
22日に蔵内氏から議員辞職の意向を聞いた自民県議団幹部によると、蔵内氏は自身が議員にとどまることによる若手議員への影響を心配していたという。
一方、自民県議団の若手議員は「(議員辞職について)全く聞いていない」と話し、「若手の厳しい意見も念頭にあったのかもしれない。辞職の理由が何なのか、(蔵内氏)本人から説明してほしい」と語った。
他会派からも様々な声が聞かれた。
主要会派の一つ、新政会の椛島徳博会長は「蔵内氏が追い込まれていたのは間違いないが、議長職を飛び越えて議員を辞職するとは」と驚きつつ、「蔵内氏は(一連の問題の)中心人物。辞職しても真相解明には協力してもらわなければならない」と語気を強めた。
蔵内氏は9月定例会で、一連の問題を受け県議会の各会派が求めている政治倫理条例の制定にめどがついた時点で議長を辞任する意向を示していた。公明党県議団の新開昌彦団長は、「9月定例会は、改革を進めるための議会だと受け止めていた。責任を持って見届けるべきだった」と指摘した。
県議会を巡っては、金銭授受疑惑のほか、高額な海外視察なども問題視されている。服部誠太郎知事は24日、県庁で報道陣の取材に、「新しい体制の下で、真相の究明と議会改革を進め、議会全体として取り組んでいただきたい」と述べた。
金銭授受疑惑の渦中で、蔵内勇夫氏の発言は度々、注目を集めた。
7月23日、全国都道府県議会議長会会長として官邸で高市首相と面会した後、「ネットで炎上して、日本で一番悪い男が蔵内勇夫だと言われている」と述べた。首相については、「『頑張れ』というような目で見ていただいたと思う」と印象を明かした。
翌24日、当時の中尾正幸副議長が議員辞職した際には「(中尾氏から)『トカゲのしっぽ切りと言われるかも分かりませんよ』と言われたが、『君は並のトカゲじゃない。しかし、自らしっぽを切って戦いたいということを私は良しとする』と返した」とやり取りを説明した。
今月2~5日に日本獣医師会の業務でネパールに滞在していた蔵内氏は5日、「(現地では)非常に優しい気持ちで接していただいた。まさしく天国の国だなと、そういう思いをした」と語った。