〈高市改造内閣に「3つの火種」〉“馬場入閣”に維新内部もしらけムード…参院との亀裂、忍び寄る「ポスト高市」の影

高市早苗総理が9月16~18日にも行なう見込みの内閣改造・自民党役員人事を巡り、政権の「骨格」は変えない方針が報じられている。しかし、安定重視の布陣の裏では、今後の政権運営を揺さぶりかねない「3つの不安材料」がくすぶっている――。
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「馬場入閣」説に維新内部から“しらけムード”
党役員人事では、昨年の自民党総裁選の決選投票で派閥を挙げて高市氏を支援し、高市総理誕生の立役者となった麻生太郎副総裁の留任が有力視されている。
「麻生氏の義弟・鈴木俊一幹事長も続投の方向です。60人を抱える麻生派の支援は、来年の総裁選を乗り切るために不可欠だという判断とみられます。
内閣改造についても、最側近といわれる木原稔官房長官や片山さつき財務相のほか、総裁選でライバルとして戦った茂木敏充外相、小泉進次郎防衛相、小林鷹之政調会長についても、留任や、要職起用する見込みです」(全国紙政治部記者)
一時は、萩生田光一幹事長代行の幹事長起用説も流れたが、自民党内では「現実的でない」という声も多かった。
「そもそも萩生田氏は、オールマイティな人脈を誇る人。8月には岸田文雄元総理らと山梨県で会合を開いていたし、石破政権の頃から佐藤勉元総務相が主催する定例ランチ会で、齋藤健元経産相、古川禎久元法相、木原誠二元官房副長官、御法川信英国対委員長代理ら、必ずしも高市総理と近しくないメンバーとも関係を築いていた。
萩生田氏には、党内の結節点的な役割を期待し、『高市総理から要職を打診されても受けない方が彼のためになる』という声も出ていた。本人も、幹事長代行のポストで十分に仕事ができており、あえて重職を狙わなくてもいいという雰囲気だった」(萩生田氏周辺)
今回の内閣改造・党役員人事について、高市総理に近しい自民党議員は、こう読み解く。
「高市総理が重視しているのは、来年9月に予定されている自民党総裁選をどう乗り切るかということでしょう。骨格を変えない意味はそこにある」
安定感を重視した布陣だが、不安材料も存在する。その最たるものが、連立パートナーである日本維新の会からの入閣だ。フジテレビは9月7日に、維新向けのポストとして、規制改革担当大臣などの案が浮上していると報じている。
「馬場伸幸前代表の入閣案が出ているということですが、スキャンダルの多さが指摘される維新の体質的問題は気がかりです。馬場氏も、文藝春秋および担当記者と訴訟を抱えている状況です。
おまけに、副大臣や政務官などの政務三役まで維新から入ってくることになれば、さらにリスクは大きくなる。維新の方々は、予算委員会などでの答弁経験がないわけで、混乱を招きかねない」(前出・自民党ベテラン議員)
ちなみに、「馬場入閣」説を巡っては、維新内部からこんな声も……。
「堺市議から国政に転出した馬場さんは、橋下徹さんのもとでの大阪府・市の改革を経験しておらず、維新の“改革イメージ”とはだいぶ齟齬がある。大阪の維新メンバーの中では、しらけムードも漂っています」(維新府議)
参院自民との軋轢…浮上する「林芳正総務相」の存在
2つ目の懸念点は、参院自民党との軋轢だ。参院ではいまだに与党過半数割れの状態が続き、円滑な国会運営のためには、参院自民党との連携が不可欠だ。しかし、高市総理は26年度予算が年度内に成立できなかった一因は、参院自民党側にあると考えて、石井準一参院幹事長と距離を取っているとされる。
「高市総理に対して、周囲が『石井氏とよく話し合ったほうがいい』と助言しても、どうもうまくいっていないようです。こうしたなか、新聞各紙がここにきて、石井準一参院幹事長の処遇について報じています。
自民党の参院人事は、党則上、参院会長が決めることになっており、総裁であっても手をつけられなかった“聖域”です。仮に総理の意向が作用すれば、参院側の反発を招きかねない。こういう話が出てくること自体が好ましくないのです」(自民党参院ベテラン)
高市総理は8月28日に、チームみらいの安野貴博党首と会談し、AIの活用について指導を受けるなど、独自の動きも見せている。
「ただ、いま参院では4議席足りない状態。チームみらいの会派は、参院で2議席。高市総理は国民民主の玉木雄一郎代表とケミストリーが合わないとされる。国民民主を含めた連立拡大よりは、チームみらいなどを含めた少ない議席をかき集めていく方が現実的という判断なのでしょう。泉房穂参院議員が立憲会派を離脱するなど、新たな動きもあります」(前出・自民党参院ベテラン議員)
そして、内閣改造を巡ってもう一つ注目されているのが、林芳正総務相の処遇である。林氏は、党員票の獲得のため精力的な地方行脚を続けるなど、次期総裁選出馬に意欲を持っているとされる。9月1日には外国人特派員協会で会見し、日中関係やSNSの問題などについて流ちょうな英語で、持論を展開した。
自民党の重要閣僚経験者は「現職総理のライバルの立場で要職に就くのは、リスクになる面がある。林さんが来年の総裁選に出るなら、閣僚や党役員でない立場で、自由に動いたほうがいい」と語る。
過去を振り返っても、2021年に政調会長だった下村博文氏が出馬しようとしたものの、当時の菅義偉総理に「総裁選立候補か、政調会長辞任か」を迫られたことがあった。
「現時点で林さんの求心力はそこまであるわけではないが、参院の旧宏池会(旧岸田派)は、林さんでまとまっている感じがある。林さんはもともと参院議員を長く務めていたし、高市総理が参院自民党との関係が悪くなれば、林さんに流れる可能性もある。
また、本音では、維新との連立解消を望む自民議員は少なくない。来年の総裁選で、林さんが『維新ではなく国民民主と連立を組み替える』などと言い出せば、状況次第では一定の支持を集める可能性もある」(前出・自民党参院ベテラン議員)
はたして、高市総理は林氏をどう処遇するのか。そして、それに対して、林氏はどう対応するのか。内閣改造の大きなポイントになりそうだ。
取材・文/河野嘉誠 集英社オンライン編集部ニュース班