小池都知事肝いり「築地再開発」頓挫の予兆…松平定信の歴史的遺構と建築費高騰のWパンチ

東京都の小池百合子知事肝いり、築地市場跡地の再開発計画に波乱の予兆だ。理由の一つは、跡地に眠る江戸時代の遺構。「寛政の改革」を進めた幕府老中で白河藩主の松平定信が邸宅に築いた天下の名園「浴恩園」だ。
中心に大きな池や泉を据えた「回遊式庭園」で、水辺を歩きながら四季折々の草花や月を鑑賞できるのが特徴。京都市の桂離宮や金沢市の兼六園、東京・文京区の六義園と同じ様式である。
■高まる「名園保存」を求める声
浴恩園には「春風の池」「秋風の池」と名付けた2つの大きな池を配置。うち春風の池とその護岸の石積みなどが、再開発に向け都が実施した埋蔵文化財の予備調査により発掘されたのだ。さらなる本格調査と現地保存を求める専門家の意見は高まっている。
「約19ヘクタールと広大な築地跡地は、もともと江戸前期の明暦の大火後に埋め立てられた土地。武家屋敷、海軍施設、中央卸売市場と移り変わった経緯があり、明治の海軍は浴恩園の池を残した。関東大震災後に日本橋から魚市場が移転、池を埋め立てた際もその形を地下に保存する工事を行ったようです。文化的価値の高い池が、かなりきれいな状態で残っている可能性は高い」(都政関係者)
事業費膨張で計画の二転三転も
しかし小池都政は開発先行で本格調査には後ろ向きだ。発掘調査費は杭の撤去や土壌汚染対策と合わせて当初約200億円と見込んでいたが、すでに物価高などの影響で1450億円まで大幅に拡大。遺構の現場保存を受け入れれば再開発計画も見直さざるを得ない。
築地跡地は銀座まで徒歩圏内という都心の一等地にあり、都の関係者が「この規模の再開発は今後あり得ない」と声をそろえるビッグプロジェクトだ。事業者の「築地まちづくり」は、開発運営責任を負う代表企業の三井不動産を中心に、トヨタ不動産、読売新聞グループ本社など計11社で構成。土地を持つ都と定期借地権設定契約を結び、約5万人収容の全天候型スタジアムとその周りにホテル、住居、オフィスなど7棟の複合型タワーが建つ計画である。
「もう1つの波乱要素が、建設資材価格の高止まり。築地再開発は2028年度に本体工事を着手。総事業費は現在9000億円を見込んでいますが、各地の再開発と同様にさらなる高騰は必至です。代表企業の三井不動産は、住居棟の売却益やオフィス賃料を当て込んでいるのでしょうが、さすがに採算が見通せなくなる。中野サンプラザ再開発のように、事業費膨張で計画の二転三転も予想されます」(建設関係者)
小池知事が「築地は守る」と市場関係者の期待を欺き、築地再開発の方針を決めてから9年。因果は巡り、計画は頓挫の危機を迎えつつある。
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小池都知事の再開発のデタラメぶりについては、【もっと読む】【さらに読む】で詳しく報じている。