福岡市西区で飲酒運転の事故に巻き込まれて亡くなった大山晴瑠(はる)ちゃん(3)の両親が22日、大分市内の自宅で取材に応じ、「『ごめん、びっくりしたよね。大丈夫だよ』と声をかけてあげたい」と胸中を明かした。
晴瑠ちゃんの父親の泰士さん(34)と母親の真紀さん(34)によると、家族は20日、3人で佐賀県へ旅行に向かう途中、福岡に寄った。海沿いのブランコで遊んで、ベンチでテークアウトの食事を食べよう。事故に遭遇したのはそんな時だった。
「チョコソフトクリームください」と自分で店員さんに注文したのが、真紀さんが覚えている最後の言葉になった。ソフトクリームを洋服にこぼしそうになる晴瑠ちゃんの胸に、真紀さんはハンカチを掛けてあげた。その直後、事故は起きた。両親も骨折などのけがをし、泰士さんが気が付いた時、晴瑠ちゃんはバイクの下敷きになっていた。
晴瑠ちゃんが亡くなった21日。夫婦は最愛の一人息子が事故のあった場所に取り残されているような気がして、もう一度その場を訪れ、「ついてきてね」と声をかけた。その夜、晴瑠ちゃんは自宅に戻り、大好きでアニメやユーチューブの動画をよく見ていたアンパンマンのおもちゃと一緒に布団に横たわった。「会えたことがうれしいよ」という思いを込めて名付けた晴瑠ちゃんは、何にでも興味を持ってよく笑い、時々パパとママを「あべこべ」に呼ぶのも可愛らしかった。
「飲酒したと分かっていて事故を起こしたと思うと、気持ちをどこに持っていけばいいか分からない。飲酒運転が発端にあったということが、どうしても許せない。いつもついてきてくれる子だったので、今は一緒に家に帰ってきてくれたと思います」。晴瑠ちゃんの傍らで、夫婦は涙で声を詰まらせた。
福岡県警西署によると、事故は20日午前11時10分ごろ、福岡市西区小田の県道で発生した。大神正治容疑者(68)が運転する軽乗用車が前方を走っていたバイク3台に追突し、うち1台が弾みで道路そばの晴瑠ちゃんに衝突。両親ら5人も病院に運ばれた。西署はアルコールの影響で正常な運転が困難な状態で車を運転したとして、大神容疑者を自動車運転処罰法違反(危険運転致傷)の疑いで現行犯逮捕し、容疑を危険運転致死傷に切り替えて調べている。【岡田愛梨】