旧ジャニーズ事務所(現SMILE―UP.=スマイルアップ)の創業者・故ジャニー喜多川氏から性被害を受けたとして、男性がスマイル社に約900万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は24日、請求を棄却した。中野琢郎裁判長は「男性に対する性加害が存在したと認めるに足りる証拠はない」と判断した。
元所属タレントらに補償を進めているスマイル社に対し、性被害を訴える当事者が賠償を求めた訴訟の判決は初めて。
男性は訴訟で、1993年7月ごろにテレビ番組の収録現場を見学している際、喜多川氏にトイレに連れて行かれて性被害を受け、24年7月に被害を申告してからも調査が約8カ月間放置されたと主張した。
判決は、喜多川氏が人目に付きやすい状況で声をかけてトイレに連れて行くことは不自然と指摘。男性が事務所に所属していたことを直接示す資料が存在しない中、約30年前の事実確認には相応の期間が必要だとし、男性の主張を退けた。
スマイル社は「当社の主張が裁判所に受け入れられたものと認識している」とのコメントを出した。
男性は取材に「世間の波風を立てないよう、最も無難で安全な判決に着地させられた気持ちです。私には控訴をしてこれ以上の裁判を闘う気力も時間も経済力も、そして被害を示す証拠物も何一つ残っておりません」と述べた。
スマイル社によると、9月15日時点で被害申告があった1047人のうち、578人に補償金を支払った。一方で、事務所の在籍や性被害が確認できなかった231人は補償の対象外とした。スマイル社は補償などを求める訴訟を国内で4件、米国で2件起こされている。【安達恒太郎、西本龍太朗】