元長野県知事で作家の田中康夫氏は1日、18日に行われる横浜市長選に出馬しない意向であることを自身のホームページ上で明らかにした。
「横浜市長選挙への出馬を期待して下さった皆さまへ」と題する文章の中で、「選挙には、出るべき時もあれば、あえて出ないことで見えてくるものもあります」とつづり、今回の市長選とはいったん距離を置くことにしたという。
田中氏はこれまで2021年と2025年に行われた横浜市長選挙に立候補し、2021年は候補者8人中4位で落選。だが、2025年の選挙では候補者6人中2位と善戦し、今回の市長選では「有力候補」の一人と注目されていた。
2000年から2006年までは作家業と並行して長野県知事を務めた経験もあり、在任中は歯に衣着せぬ発言や革新的な提案を行うなど、いわゆる「劇場型政治」を行う知事として人気を集めた。
田中知事が行った改革としては、環境汚染の観点からコンクリートダム建設を中止させる「脱ダム宣言」や大手マスコミの情報独占を防いだ「脱記者クラブ宣言」などさまざまだが、とりわけ世間の注目を集めたのは、「行政の見える化」だった。
「行政は総合サービス産業である」という持論のもと、情報公開と透明性を追求し、行政の心臓部「知事室」を透明なガラス一枚にした「ガラス張りの知事室」は注目を集め、多くのマスコミから報道された。今回の横浜市長選は前市長・山中竹春氏のパワハラ問題による辞職がきっかけのため、田中氏が行っていた「見える化」はまさにうってつけの政策だと言える。
1980年代には「若者文化の象徴」とも呼ばれた田中氏も既に古希(70歳)を迎えている。不出馬を表明した投稿には「ひとつの選択に区切りを付けますが、予定表には載っていない出番も、人生にはあるものです」と政界引退をほのめかすような一文もあり、ネットでは「年齢的にも政界を引退する気なのではないか」と心配する声も上がっている。
今後の田中氏の動向には要注目である。