池袋で相次ぐスーツケース不法投棄、民泊・ホテル利用の外国人観光客が放置か…「中身わからず怖い」通報も

東京都豊島区の路上や公園でスーツケースの不法投棄が相次いでいる。民泊やホテルが多い池袋駅周辺で目立っており、スーツケースを買い替えた外国人観光客が不用品を放置したとみられる。区は買い取り業者らと連携し、適正な処分を促す取り組みを始めた。(美根京子)
先月15日、同区池袋本町のごみ集積所前の路上にスーツケース1個が放置されていた。区は警告シールを貼ってその場に残したが、1週間たっても所有者は現れず、仕方なく粗大ごみとして回収した。
近くに住む女性(38)は「ここ数年、近隣に民泊が増えてから、路上に放置されたスーツケースを計50個以上は見た。外国人が置いているのを目撃したこともある。ルールは守ってほしい」と訴えた。
都によると、昨年に都内を訪れた外国人観光客は前年比16%増の約2865万人で、過去最多を記録。同年の都の「外国人旅行者行動特性調査」では、4人に1人が池袋を訪れていた。
豊島区によると、外国人観光客の増加に伴ってスーツケースの放置も増えており、昨年度は区道や公園、ごみ集積所などで計約290個が見つかった。民泊やホテルが集まる池袋駅周辺が多く、宿泊施設に残していくケースもあるという。
外国人観光客が円安を背景に、安価で丈夫な日本のスーツケースに買い替えたり、お土産が入りきらず、サイズが大きいものを購入したりして、不用品を捨てたとみられる。
「中身がわからず怖い」として110番する住民も多く、区豊島清掃事務所の高桑光浩所長(62)は「重たいスーツケースは警察官の立ち会いの下で中身を確認するケースもあり、手間がかかっている」と漏らす。
不要なスーツケースはコンビニ店などで販売している粗大ごみ処理券(400円分)を貼って、区に収集してもらう必要がある。だが、あくまで区民が対象で、外国人観光客らの場合は、個別に業者に処分を依頼しなければならない。不法投棄されれば、区民の税金で廃棄されることになる。
そのため、区は7月、買い取りサービスを行う「カルチャーズジャパン」(台東区)と「日本鞄材」(岐阜市)との間で連携協定を締結。両社の取り組みや連絡先を英語や中国語、韓国語などで紹介するチラシを作成し、区内の宿泊施設や量販店などに配布した。
カルチャーズジャパンは店頭などでスーツケースを買い取っており、日本鞄材は宿泊施設に出向き、1個2500円で引き取っている。区はさらに、池袋西口公園や「としま区民センター」の大型ビジョンも活用し、不法投棄をやめるよう多言語で周知している。
区は今年度中に罰則付きの条例も制定し、来年度から施行したい考えだ。区環境政策課の沢田健司課長(55)は「民間の力も借りながら対策を強化していきたい」と話した。
スーツケースの放置は他の地域でも相次いでいる。
都監察指導課によると、今年4月以降、島嶼(とうしょ)部を除く都道上で回収したスーツケースは、先月16日時点で計50個に上っており、新宿や浅草などで目立っているという。
新宿区では昨年度、区道で放置されていた約30個を回収した。区新宿清掃事務所によると、民泊施設周辺での不法投棄も確認されており、民泊事業者には旅行客の不要となったスーツケースがある場合は、「事業系ごみ」として捨てるよう注意喚起している。
オーバーツーリズム(観光公害)に詳しい龍谷大学の阿部大輔教授(都市計画)は「時間が限られている観光客の場合、廃棄方法が分かりにくかったり、手間だったりすると、適切な処分行動につながりにくい」と指摘。デンマークの首都コペンハーゲンでは、環境に配慮した行動を取った観光客に特典を付与する施策があるとし、「観光客に望ましい行動を促す仕組みを考えていくことも重要だ」と話している。