[社説]女性殺害で米兵逮捕 海兵隊の沖縄集中見直せ

彼女が直面した恐怖や苦しみ、無念さを思うと、胸がえぐられる思いがする。日米両政府が繰り返す言葉だけの「綱紀粛正」や「再発防止」は何の役にも立たない。
那覇市若狭のホテルで女性(39)の遺体が見つかった事件で、県警は米軍普天間飛行場所属の海兵隊上等兵の男(20)を逮捕した。
男は容疑を否認しているが、女性の首を絞め、財布などを奪った強盗殺人の疑いが持たれている。
米兵絡みの事件で、またも女性の命が奪われた。
あまりに卑劣で理不尽な犯行である。家族の悲しみはいかばかりか。県民もやりきれない思いにさいなまれている。
4日夕、那覇市の県民広場で「抗議する緊急女性集会」が開かれた。
参加者は「Me Too」「With You」と書かれたプラカードを持ち、抗議と追悼の意思を示した。
「もしかしたら被害者は私だったかも、私の娘だったかも、私の友人だったかもしれない」
事件を、自分とつながりのある身近なこととして受け止め、怒りに身を震わせていた。
沖縄の戦後史は、米軍関係者の事件事故の繰り返しの歴史でもある。
安全保障の名の下で女性の人権が脅かされ、尊厳が踏みにじられてきたのである。米兵犯罪におびえる日常が戦後81年たっても続いているのは、異常というほかない。
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2016年4月、うるま市でウオーキング中の20歳の女性が、米軍属の男に殺害される事件が起きた。
遺体が遺棄された恩納村の山あいの現場には献花台が設けられ、被害女性を悼む花や飲み物が絶えることがなかった。
当時も多くの女性が「被害者は私だったかも」との思いを抱き、街頭に立って声を上げた。
あれから10年。事態が改善されたとの実感はない。
3年前にも16歳未満の少女を連れ去り、自宅で性的暴行を加える事件が起きた。2年前には20代女性の首を絞め、両目にけがをさせた事件もあった。
沖縄では基地が女性の人権を侵害する「暴力装置」のような存在になっている。
25年に米軍関係者が刑法犯で摘発されたのは101件。3桁となったのは03年以来だった。
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米軍関係者による女性暴行事件を受け、日米で対策を協議する「フォーラム」が1年ぶりに開かれたのは今年5月のことだ。
政府も県も最悪の事態を防ぐことができず、再発を許してしまったことを深刻に受け止めなければならない。
これまでのような綱紀粛正策、再発防止策の限界も明らかだ。
海兵隊の撤退・分散を含め、沖縄の過重負担を前提にした安全保障政策そのものの見直しが必要だ。
高市早苗首相も古謝玄太知事も、実効性のある対策を確立するため強い姿勢で事に当たってもらいたい。