<独自>下り坂、フットブレーキ酷使でフェード現象 6人負傷事故でバス運転手を書類送検

大阪府四條畷市で5月、試運転中の観光バスがトラックに追突するなどして6人が負傷した事故があり、大阪府警四條畷署は8日、自動車運転処罰法違反(過失傷害)の疑いで、バスの男性運転手(39)を書類送検した。捜査関係者への取材で分かった。フットブレーキを頻繁に使うことで過熱し、急にブレーキが利かなくなる「フェード現象」の発生が事故原因と特定した。
捜査関係者によると、男性運転手は調べに対し、「事故当時フットブレーキに頼っていた」「ブレーキが利かなかった」などと供述したという。
現場は国道163号交差点。この交差点自体は平坦(へいたん)だが、バスは奈良方面から生駒山地の長い下り坂を走った末に現場に至っていた。署は男性運転手の供述や現場状況、バスの部品を調べた結果を踏まえ、フェード現象が起きたと判断した。
書類送検容疑は5月13日午後7時10分ごろ、四條畷市の交差点でバスを運転中、前方のトラックに追突。別のトラックや乗用車を巻き込んで計5台が絡む事故を起こし、20~60代の男女5人に軽傷を負わせたとしている。事故で男性運転手も重傷を負った。バスは点検後の試運転中で乗客はいなかった。
相次ぐフェード現象、過去には死者も 連発の神戸市では看板増設
フェード現象が原因となる事故は各地で起きており、専門団体はフットブレーキに頼りすぎない運転と定期的な車の点検が重要だとしている。
神戸市灘区の兵庫県道で9月中旬、トラックが信号待ちの神戸市バスに追突。県警灘署によると、バスの乗客約10人が軽傷を負い、トラックの運転手も足を骨折した。
現場は六甲山から続く下り坂。トラックの運転手は「ブレーキが利かなくなった」と話しているといい、同署はフェード現象が起きたとみている。
現場付近では8月にも、レッカー車が信号柱などに衝突する事故が発生。同署によると、2つの事故の現場となった県道灘三田線は急勾配が続き、令和3年以降、少なくとも8件の事故でフェード現象が起きたと確認されている。
6年には県警の「フェード現象重点対策路線」に指定され、現在約30カ所に注意喚起の看板が設置されている。事故が絶えない現状を踏まえ、神戸市は看板を増設する方針を固め、ドライバーに効果的な看板の文言などを検討している。
フェード現象に関連する事故は静岡県小山町の県道「ふじあざみライン」でも4年に発生。乗客34人を乗せた大型貸し切りバスがカーブで横転。乗客1人が死亡し、28人が重軽傷を負った。国の事業者用自動車事故調査委員会の報告書では、運転手の経験不足やフットブレーキに頼った自己流の運転などが原因として指摘された。
日本自動車連盟(JAF)は、フェード現象の防止策として、長い下り坂ではエンジンブレーキを併用し、フットブレーキに頼りすぎないことを強調する。また近年では性能の向上によりブレーキが高熱化するトラブルは減少しているものの、万が一に備えて、定期的な検査を受けておくことが重要だとしている。(堀口明里)