高市首相が8日の代表質問で簗農相の続投を表明したのは、地元自治体の道路予算を巡る発言を問題視しつつも予算減額の働きかけを否定した国土交通省の調査結果などを考慮したからだ。政府・与党は事態の収束を図りたい考えだが、国会審議への影響は避けられない状況で、幕引きは見通せない。(谷口京子)
「私の不徳によるもので不適切だったと自覚している」。簗氏はこの日、衆参両院の代表質問で答弁に立ち、低姿勢で釈明を重ねた。首相も簗氏を厳しく注意したと説明した上で、引き続き職務に当たらせる考えを強調した。
簗氏はすでに発言を撤回して謝罪し、国交省は道路予算の減額への働きかけは「なかったとみられる」との調査結果を発表した。首相周辺は「本人や政府が答えられることは全て答えた」とし、これ以上の説明は難しいとの認識を示す。
内閣改造直後に閣僚を交代させれば、首相の任命責任が問われるのは必至となる。今年3月には松本洋平文部科学相(当時)が女性問題で追及されたが、続投で乗り切り、政権発足後、不祥事などで交代した閣僚はいない。
首相が簗氏を買っていることも擁護姿勢につながっているとみられる。首相は2月の衆院選の応援演説で簗氏を「私の大事なやなちゃん」と親しみを込めて紹介した。簗氏は自民党派閥の政治資金問題で収支報告書に1746万円の不記載があったが、入閣させた。
一方、野党は簗氏の資質にも矛先を向け、追及を続ける構えだ。選挙での支援と予算を絡めた発言の性質に批判が集中している。
立憲民主党の田名部幹事長は8日の参院代表質問で、「予算を政治的な報復や見返りに用いようとする姿勢は到底許されない。撤回、謝罪だけで済むとお考えか」と迫った。共産党の田村委員長は記者会見で「有権者を恫喝(どうかつ)しているに等しい」と指弾した。
国会審議への影響も不可避の情勢となっている。立民の斎藤嘉隆国会対策委員長は自民の磯崎仁彦参院国対委員長と国会内で会談し、参院農林水産委員会で簗氏の所信聴取に応じないと伝えた。斎藤氏は記者団に「早期に大臣の職を退かれることを強く求めたい」と語った。
簗氏を巡っては、8日発売の週刊文春が、過去の衆院選で支持者をシャトルバスで無料送迎したことが公職選挙法に違反する疑いがあると新たに報じた。自民内では「世論の動向次第では、続投を貫き通せるかわからない」(閣僚経験者)との声も出ている。