《これが更迭の決定打》簗和生前農相 衆院選で運動員買収“指示メール”入手 「抵抗する秘書に〈支払いをするように〉と送り…」

〈 《辞任表明》簗和生農相“シャトルバス買収”疑惑とは? 辞任のきっかけとなった週刊文春の報道 有権者が無料でバスに乗り… 〉から続く
簗和生前農相(47)の陣営が、過去の衆院選で報酬を支払った選挙事務員に投票依頼の電話をさせていたとする問題を巡り、簗氏自身が報酬の支払いなどを指示していた疑いがあることが 「週刊文春」 の取材でわかった。この疑惑が更迭の決定打となったと見られる。
就任からわずか1カ月で事実上の更迭
簗氏を巡っては、これまで複数の疑惑が指摘されてきた。 「週刊文春 電子版」(9月30日昼配信) では、衆院選で自身を支持しなかった自治体について「大幅にカットした」と発言した“恫喝音声”問題を報道。さらに 「週刊文春」10月8日発売号 では、衆院選公示日に支援者を無料のシャトルバスで送迎したとする“有権者買収”疑惑を報じた。
これらを受け、簗氏は10月14日夜、高市早苗首相に辞表を提出。就任からわずか1カ月で事実上の更迭となった。
若手エースが起用された“お支えチーム”はあっさり解散
「簗氏はかねてから『私は農水関係の色んな役職に就いてきた』『JA関係の予算も増やしてきた』と自慢げに語り、農水行政には自信をみなぎらせていた。とにかく細かい性格で、条文の一言一句に手を入れるタイプ。ネットの評判も見ていて、『俺がどれだけ農政に貢献してきたのか』と不満を洩らしていたようです」(農水省関係者)
しかし、就任早々疑惑が相次いで発覚した。
「農水省内には国会対策で“お支えチーム”まで設けられました。秘書官でもない官僚が本業とは別に、政務案件の答弁をサポートするなど極めて異例のことだった。課長補佐級の若手エースが起用されるほどでしたが、あっさり解散となりました」(同前)
5人の事務員が「電話かけなどの投票依頼で報酬を受け取った」と証言
ただ、簗氏を巡る問題はこれで終わりではない。民主主義の根幹である選挙に関する重大な疑惑について説明が果たされていないからだ。10月15日には、大学教授がシャトルバス問題について公職選挙法違反の疑いがあるとして簗氏に対する告発状を宇都宮地検に送ったことを明らかにした。
そんな中で、複数の専門家が「非常に悪質」と指摘するのが、 「週刊文春 電子版」が10月14日昼に報じた“運動員買収”疑惑 だ。
公職選挙法は、電話による投票の呼びかけに対して報酬を支払うことを買収として固く禁じている。一方、来客応対などを担う選挙事務員には、一定の条件で報酬を支払うことが認められている。ただ、「事務員」という名目でも、電話による投票の呼びかけの対価として報酬を支払えば、買収に該当する。
ところが、「週刊文春」の取材に対し、簗陣営の選挙に携わった5人の事務員が「電話かけなどの投票依頼で報酬を受け取った」などと証言。公職選挙法違反(運動員買収)の疑いが濃厚になったのだ。
〈選挙事務所として支払いをするようにして下さい〉
ただ、それだけではなかった。事務員の一人は「簗さんに電話かけをお願いされた」と証言。さらに、簗氏は過去の衆院選で秘書に、電話かけなどの投票依頼に関連して以下のようなメールを送っていたのだ。
〈選挙事務所として支払いをするようにして下さい〉
公職選挙法に抵触しかねないとして、「秘書は抵抗していた」(元選対幹部)という。
つまり、簗氏自らが、選挙運動に携わった事務員に報酬を支払うことを命じていたことになる。過去には候補者の逮捕にも繋がったケースもある問題だけに、専門家は「簗氏自身が関与していれば、驚きを禁じえない」などと指摘している。
簗氏の事務所に10月12日午前、事実関係の確認を求める質問状を送ったが、期限までに回答はなかった。
連休明けの13日、一気に更迭に傾いた
「高市首相は10月12日までの3連休中は『更迭せずとも乗り切れる』と踏んでいました。しかし、簗氏側は質問状が届いた段階で『週刊文春』が15日発売号で何を報じるか、一定程度把握したと思われます。首相側もシャトルバス問題だけでなく、運動員買収まで発覚すればとても庇いきれない。連休明けの13日、一気に更迭に傾いた形です。結果、14日夜、予算委員会散会後の辞任となりました」(官邸関係者)
簗氏は辞任直前、一連の疑惑について「説明を尽くす」と述べていた。閣僚は更迭されても、選良である以上、説明責任が問われ続ける。
《現在配信中の 「週刊文春 電子版」 ならびに10月15日(木)発売の「週刊文春」では、更迭の決定打となった簗氏の運動員買収疑惑に関する事務員5人の重大証言や、簗氏が秘書に送った“買収指示メール”の中身、さらに簗氏と家族の複雑な関係や、 裏金事件を巡る“開き直り音声” などについて5ページにわたって詳報している》
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2026年10月22日号)