【週刊誌からみた「ニッポンの後退」】
高市早苗の「正体」が見えてきた。
彼女が前のめりになっている憲法改正の“本丸”は、第9条ではなく第1条の全面改正にある。戦前の帝国憲法のように、天皇を「国家元首」と位置づけ、「大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」という条文を復活させること──すなわち戦前への回帰である。
これは、今も政財官に大きな影響力を持つウルトラ保守集団「日本会議」の目指すものと一致する。高市は昔から「日本会議」と深いつながりを持っているのは、よく知られている。
彼女が師と仰ぐ安倍晋三政権時代は「日本会議のお仲間内閣」と呼ばれ、第3次安倍内閣では、日本会議に所属する閣僚が8割を超えていたといわれる。
ここで日本会議について詳しく説明する紙幅はないが、高市もそこの“傀儡”の一人であることは疑いようがない。
日本会議は、「天皇は万世一系」「男系男子」を最も重視している。
かつて女性天皇容認発言をしていた高市が、皇室典範改悪にあたり、愛子天皇を排除したのはイデオロギー的必然であった。
国民に何の説明もないまま、唐突に、旧宮家から養子を迎え、その子や孫が将来の皇位継承者となる制度を導入したが、それだけではない。
高市は、自分の“手下”である黒田武一郎宮内庁長官に命じて、養子縁組の際、皇居の宮中三殿で皇室の祖先や神々に奉告する儀式や、宮殿・松の間で天皇ご夫妻に挨拶と報告を行う「朝見の儀」などを行うことを検討させていると、共同通信(9月18日付)が報じた。
「皇室の権威化を目指す高市政権の意向があからさま」だと、森暢平・成城大教授が批判するのはもっともである。
さらに毎日新聞(8月31日付)が「保守系議員の間で、皇室に対して誹謗中傷した場合、皇族からの告訴がなくても名誉毀損で処罰できるよう、刑法改正を模索している」と報じ、「不敬罪」を復活させる気かと難じた。
一連の動きは、現在の天皇の意向を全く“無視”したまま、なし崩し的に進められているのだ。
高市首相の狙いは…
日本会議に操られた高市は、天皇を神格化したその裏で、政治家と軍部が手を結び、再び戦争のできる国へと後戻りさせようとしている。だが、そのような危険な企みに逆らうさまざまな動きが、地方から出てきている。
長野県上伊那郡飯島町議会や千葉市議会では、「愛子天皇を認める」「皇室典範をさらに改正して、女性天皇を容認せよ」という意見書が出され、10月10日には、全国で「愛子さんを天皇に」というデモが行われた。
来春行われる統一地方選では、「愛子天皇の実現」などを掲げる候補者や、新しい政党が出てきて、ブームを起こすかもしれない。何しろ国民の8割近くは愛子天皇を待望しているのだから。
「農村から中央を包囲せよ」といった毛沢東の言葉を思い出す。
この国の形を醜く変容させようとしている高市政権は、地方議会や反女性差別を掲げる団体、現代版「治安維持法」だと批判されたスパイ防止法や不敬罪復活絶対反対派などによって、“駆逐”されると、私は考えている。 (文中一部敬称略)
(元木昌彦/「週刊現代」「フライデー」元編集長)