《リベラルは再生できるのか》石戸諭氏が分析「再建にはまず“反戦平和に頼る姿勢”を見直し、自民党が苦手とする規制改革に取り組むべき」

中道改革連合の解体、沖縄県知事選での玉城デニー氏の敗北など、リベラル勢力の退潮が鮮明となっている。かつて左派の牙城とされた沖縄でも、有権者は変化を選んだ。なぜリベラルは支持を失い、対抗軸を示せなくなったのか。そして再生する道はあるのか。ノンフィクションライター、石戸諭氏が分析する。
中道改革連合が衆院選で結果を残せなかった最大の原因
中道改革連合が2月の衆院選で結果を残せなかった最大の原因は、経済政策が乏しかったことにあると考えています。
自由主義経済を前提にした政党なのに、公約には経済、特に必要とされる成長戦略に力を入れているようには見えませんでした。
象徴的なのは2月の衆院選の最終盤です。当時の野田佳彦(立憲民主党代表)・斉藤鉄夫(公明党代表)の両氏が拠り所としたのは、「ママ、戦争止めてくるわ」という反戦平和の文言。9条の理念を守るという代わり映えしない内容にとどまったのです。しかもあたかも高市政権だと戦争に近づくかのような主張でしたが、明確な根拠を示すこともなかった。
そこしか立つ瀬がない姿に、中道リベラルというより、昔ながらの左派政党との受け止めが広がったのです。
軍備を増強させてきた中国や核開発を進める北朝鮮は現実の脅威であり、国民が不安を感じているのも確かです。
内閣府の「自衛隊・防衛問題に関する世論調査」によれば、軍備について「今の程度でよい」の49%に次いで多いのは、「増強したほうがよい」の45%。これに対して「縮小したほうがよい」は2%にとどまります。具体的な防衛政策を提示できなければ国民に響きません。
メディア環境の変化に対応できなかったという面も見逃せません。そもそも国政政党の間で当初、X(旧ツイッター)を巧みに活用したのは共産党でした。ところが近年、高齢者も含めて動画を眺めて情報収集する視聴スタイルが主流になると、ニコニコ生放送時代から動画投稿に熱心だった保守側の発信力も強くなります。リベラル陣営のおかしさへの指摘、野党批判が、右派でも左派でもない真ん中の層に説得力を持って届くようになった背景です。
再建に必要なのは護憲派に引きずられず、反戦平和に頼る姿勢を見直すことです。経済政策で言えば、高市政権の成長戦略を是々非々で議論し、規制改革による市場活性化を打ち出すところから始めるべきではないでしょうか。
農業や医療など、多くの支持母体を抱える自民党は苦手とする分野が規制改革です。ビジネス機会創出につながり、国民が具体的な恩恵を期待できます。時間はかかっても、探求する価値があると私は思います。
【プロフィール】石戸諭(いしど・さとる)/毎日新聞、BuzzFeed Japanの記者を経て、2018年からフリーに。著書に『ルポ 百田尚樹現象 愛国ポピュリズムの現在地』(小学館)など。
※週刊ポスト2026年10月30日号