大阪市の自宅で妻に暴行を加え死亡させ、遺体を遺棄した罪などに問われている男の裁判員裁判で、20日、大阪地裁は死体遺棄と傷害致死の罪について、求刑よりも重い懲役12年6か月の判決を言い渡しました。
起訴状によりますと、無職の黒木佳史被告(36)は、2024年5月、大阪市中央区の自宅で、妻のいずみさん(当時52)に暴行を加え死亡させたうえ、数日後、遺体を車で岡山県付近に運び、遺棄した罪などに問われています。
妻の遺体は現在も見つかっておらず、これまでの裁判で黒木被告は一貫して黙秘していて、弁護側は「犯罪の立証がなされていない」として無罪を主張していました。
一方の検察側は、これまでの裁判で、複数の証人尋問を行ってきました。事件当時、黒木被告がいずみさんと暮らしていた家の隣に住んでいた住人は、「夜、隣の家からドンドンという音や男性の怒鳴り声、そして女性の『痛いのはやめて、殺されちゃう』という助けを求める声を聞いた」と証言しました。また、黒木被告と知人の男(すでに自殺)と知り合いだったという男性は、「知人の男から『(黒木被告の)死体遺棄を手伝った。遺体の頭にはフォークが刺さっていた。家の裏でバラバラにしながら灯油をかけて7、8時間かけて燃やした。遺体は地元の川に流したり、ごみとして捨てたりした』と聞いた」と証言しました。
9月29日に行われた論告で、検察側は「暴行は1時間以上続き、態様は激しく、執拗で悪質。いずみさんの死体を焼いてダムなどに投棄し、徹底した罪証隠滅である」などと指摘。また、「一切供述しておらず、別の傷害事件で執行猶予中の犯行で反省の態度が皆無」などとして、傷害致死と死体遺棄の罪について、懲役12年を求刑していました。
20日に開かれた判決で大阪地裁は、「事件当時や死体遺棄についての証人らの証言は具体的で信用できる」などとして、犯罪事実を認定したうえで、「いずみさんが、命の危険を感じるほどの切迫した状況にあったことが分かる。被告人から何らかの激しい暴行を加えられていた」と指摘しました。さらに、「被告は1時間にわたって、命の危険を感じるほどの暴行を加え、妻がやめてなどと悲鳴をあげても暴行を執拗に続けていて悪質」と批判。遺体が発見されていないことについても触れ、「死者を敬う気持ちを究極的に欠く」と指摘しました。そのうえで、「遺族に目を向けることなく、反省の態度も皆無だ」として、黒木被告に対し、求刑より重い懲役12年6か月の実刑判決を言い渡しました。