妻の晴香被告(28)、内妻の凛被告(24)とともに「一夫多妻生活」を送っていたと称する小野洋平被告(40)が、パパ活で出会った13歳の児童を含む女性との性行為を盗撮したり、虚偽の慰謝料を請求したりしていた一連の事件。
これまでに卑劣な犯行の概要は伝えられてきたものの、その背景、動機などは明らかになっていなかった。10月6日、東京地裁で晴香被告、凛被告の公判が開かれ、その実情が徐々に明らかになってきた。
第1回記事では弁護人の主張をもとに、両被告が大学在学中に洋平被告によって家族との関係を断たれ、暴力で支配されてきた経緯を伝えた。第2回記事では2人の被告人質問から、事件当時の状況をさらに掘り下げる。
そこで明らかになったのは、洗脳とも呼べる状況にまで2人を支配していった、耳を疑う肉体的・精神的な支配の環境であった。【全3回の第2回。第1回から読む】
毎日の暴力の中で一番辛かった「水責め」
洋平被告と年の離れた2人がどのように知り合ったかは、明確に明かされることなく質問がなされていった。
晴香被告が証言台に立った。やや伏し目がちな晴香被告。事件を振り返ることは辛そうだったが、はっきり聞こえる声で質問に答えていた。
洋平被告と交際を開始したのは令和元年ころだった。交際当初は暴力は振るわれなかったが、洋平被告が会社を立ち上げ、晴香被告が手伝うようになってから暴力は始まった。最初は仕事でミスをした際のみだったのが、会社を廃業した後も洋平被告の思う通りにいかないと暴力を受けた。
暴力はほぼ毎日行われた。1日に何十回と暴力を受けることもあったという。殴る、蹴るは日常的で、スタンガンで電流を流されたことも数十回。真冬に階段の踊り場に放置されることもあった。防寒できるものはダンボール1枚だった。
そんな中で一番辛かったと供述するのが「水責め」だ。腹筋台や浴槽などに縛られた状態で、濡れタオルを顔にかけられてバケツで水をかけられるというものだったという。それを供述する様子は、当時を思い出してか、少し怯えているように感じた。
詐欺行為を行うためだけの結婚
暴力を受けながら「お前は無能」などとも罵られた。正常な判断ができない中で、「そうか、自分は無能だから、洋平被告と一緒にいるしかないんだ」と恐怖心を抱き、抵抗の意志が弱まっていった。
「家族とは連絡を取るな」と携帯電話を取り上げられ、交友関係も制限された。理由は明らかにならなかったが、洋平被告は晴香被告を「ペンギン」、凛被告を「ウサギ」と呼び、洋平被告に対しては敬語で話させていた。これも主従関係を築く一つの方法だったのだろうか。
パパ活女性と性交してそれを盗撮することは、洋平被告が本件以前から行っていた。凛被告が一緒に住むようになってから、動画の販売や虚偽の慰謝料請求を行うことを洋平被告が提案してきたという。少しでも意に沿わない顔をすれば「お前が稼ぐ方法を考えろ」と殴られた。
洋平被告と籍を入れたのは、女性に慰謝料請求をするために妻である立場を作るためだけであった。
本件が発覚した後、晴香被告は取調べに対し黙秘を続けていたという。逮捕される前に、洋平被告から「裏切るな」と何度も言われていたためだ。
しかし後に犯行を認める供述に転じることになる。その理由は、洋平被告が所持していたとある文書ファイルを、捜査機関から見せられてからであった──。
(第3回につづく)