PHPの脆弱性 世界を揺るがす重大な危機だ

コンピューターのプログラミング言語は、人間が与えた指示をシステムが理解できるよう翻訳する役割を担っている。
その重要な機能を持つPHPに致命的欠陥が見つかり、世界を揺るがせている。政府機関や企業などはウェブサイトを乗っ取られないよう防御策を急がねばならない。
システム開発に使われるプログラミング言語には、JAVAやパイソンなど様々なものがある。
PHPは1995年に開発され、サイト作成での使いやすさから普及した。世界のサイトの約7割で使われているというから圧倒的な存在感だ。電子商取引や会員管理にも利用しやすいという。
国民生活への影響が大きいだけに、PHPの開発チームが21日深夜、国際的な指標で最も深刻度が高い「緊急」にあたる脆弱(ぜいじゃく)性が見つかったと発表すると、世界に大きな衝撃が走った。
犯罪集団が脆弱性を突いて、外部からサイトやサーバーを乗っ取ったり、システムを破壊して情報を窃取することができたりするという。非常に重大な事態だ。
三菱UFJ銀行など金融機関がネットサービスを一時停止したほか、ネット通販やチケット販売サイトで対応が相次いだ。
高市首相や財務省のサイト、海外でもオランダなど各国政府が公的サイトを停止し、米ホワイトハウスも緊急声明を出した。
PHPの開発チームは修正プログラムを配布した。政府機関や企業は、修正を急がねばならない。安全の確保を最優先に、サイトの一時停止もためらうべきではない。あらゆる利用者は情報の管理状況を点検する必要がある。
不正アクセスが連日、伝えられる中で、脅威が新しい段階に入ったと言えるのは、今回、AI(人工知能)が極めて短期間で脆弱性を発見したことである。
米グーグル傘下の企業によると、欠陥は10年以上前から存在していたが、見逃されていた。今回、安全性を調べた一人の研究者が1週間で脆弱性を発見した。
米アンソロピックの最先端AIモデル「クロード・ミュトス」は防御能力を高める機能があるが、それが犯罪集団に悪用されて脆弱性を突く危険性が指摘され、今年、提供停止の措置を取った。
最先端AIは防御と攻撃のどちらにも使われる時代になった。リスク管理は極めて難しくなろう。米国と中国、国連、日本などは連携し、新たなリスクに対応するルール作りに力を注ぐべきだ。