武部新農水相(56)が衆院選のウグイス嬢や運転手らの人件費を巡り、総額450万円にのぼる裏金を作っていた疑いがあることが「 週刊文春 」の取材で分かった。政治資金規正法違反の疑いがある。
武部農水相は、「週刊文春」が報じた2024年衆院選の違法寄附疑惑を巡り、政治資金収支報告書を訂正して陳謝した。ほかにも、同年の選挙でフリーカメラマンに86万円を支払った運動員買収問題を巡って選挙運動費用収支報告書を訂正することを明らかにし、さらには、関連政治団体を巡る約85万円の交付金不記載問題など、違法疑惑が次々と明らかになっている。
そんな武部氏に持ち上がった4つ目の疑惑が、衆院選の人件費を巡る問題だ。
同じ日付で同額の人件費が同一人物に支出
舞台となるのは2014年12月と2017年10月の衆院選である。北海道選管に提出された武部氏の選挙運動費用収支報告書によれば、2014年にウグイス嬢や運転手ら「車上運動員」の人件費として計17人で総額285万6000円、2017年は計14人で総額168万7000円を支出。総額は450万円を超える。
一方で、政治団体「武部新後援会総連合」の政治資金収支報告書を見ると、選挙運動費用収支報告書と同じ日付で同額の人件費が同一人物に支出されている。2014年は全員で、2017年は14人中、13人が一致。残る一人は名前と日付が記されていないが、金額は一致する。
つまり、法的な別主体が同じ金額を別個に支払っていることになっているのだ。
2014年と2017年の車上運動員報酬は大半が16万8000円。後援会と選挙資金を合わせると、33万6000円を受け取ったことになる。
「30万円ももらった記憶はない」
だが、車上運動員の元を訪ねると、報告書とは矛盾する証言が寄せられたのだ。2017年の衆院選で運動員を務めたA氏は、「車の運転手をしたが、30万円ももらった記憶はない。15万か16万円ぐらい」と断言する。
証言を踏まえれば、「武部氏の選挙資金」か「後援会総連合の政治資金」のどちらかは、実際には16万8000円を支出していないことになる。
政治資金に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授が語る。
「実際は選挙運動費用から支出して後援会総連合が支払っていない場合、その分の支出は手元に残ります。つまり、裏金になっている疑いがあるのです」
武部氏の事務所に尋ねると、次のように回答した。
「出納責任者で、第12支部と後援会総連合の事務担当者でもあった事務所長が選挙収支報告書の作成方法を誤解していたものと思われます。他界しているので確認できませんが、後援会収支報告書の様式に『選挙関係費』の項目があるため、選挙収支報告書と同様の内容を重複記載しなくてはならないと誤解していたのではないかと推測されます。簿外資金(裏金)があったわけではありません」
裏金の実態を説明する責任
前出の上脇氏は「不可解な回答です」と指摘する。
「収支報告書では後援会が支出したことになっています。実際に支出していないとすれば虚偽記入で、その分は裏金になる。武部氏にはその裏金の実態を説明する責任があります」
配信中の「 週刊文春 電子版 」及び、10月29日(木)に発売する「週刊文春」では、車上運動員の人件費だけではない、武部氏の裏金疑惑について詳報している。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2026年11月5日号)