これで何度目か。武部農相にまた「政治とカネ」の不祥事疑惑だ。
29日発売の週刊文春が、「武部新農相 裏金3千万円を衆院選で作っていた」と報じた。問題となったのは、武部氏にとって2回目と3回目の当選にあたる、2014年と17年の衆院選だ。当時の武部氏の選挙運動費用について、武部氏の「選挙運動費用収支報告書」と「後援会」の収支報告書に金額や日付が同じ支出があり、二重に計上した疑いがあるという。こうした“二重計上”は、14年は1500万円以上に及び、17年も同じく1500万円超で、総額は3000万円に上る。支出していない架空計上だとしたら、3000万円の裏金が手元に残るわけだ。
武部氏は28日夕方、農水省で報道陣の取材に応じ、疑惑を説明。二重計上の経費については「(本人が)亡くなっているため確認はできないが、当時の事務担当者が勘違いで重複して記載してしまった」と話した。そのうえで、「二重計上した分をプールしたことはなく、裏金は存在しない」と主張。武部氏の言い分だと、当時の事務担当者が故人では事実確認のしようがなく、まさに「死人に口なし」ということになる。
また、武部氏は14年、17年の政治資金収支報告書を訂正するのかと問われると、「選挙管理委員会に相談したところ、保管期限が切れて保存されていないためできない」と強調した。しかし、長年「政治とカネ」問題を追及している神戸学院大教授の上脇博之氏は、こう指摘する。
「仮に過去の収支報告書に齟齬があるのならば、そのズレが毎年繰り越されているはず。それだと直近の収支報告書も虚偽記載にあたるため、結局訂正する必要が生じます」
4回にのぼる「カネの疑惑」
武部氏の政治とカネ問題が報じられるのは、運動員買収疑惑や、公選法違反の疑いがある“ビールパーティー”開催など、これで4度目だ。
公共事業を受注している企業からの違法献金問題では、実際に寄付額を返金し、収支報告書を訂正したうえで謝罪した。次々と問題が噴出する武部氏は、そもそも大臣としてふさわしいのか。
■「報告書を訂正して済む話ではない」
「もはや、収支報告書を訂正すれば済むという話ではありません。私からすれば、訂正するというのは犯行を自白しているのに等しいこと。こんなにも政治とカネをめぐり問題のある人物を抜擢するとは、当然、高市首相の任命責任が厳しく問われています」(上脇博之氏)
農水省内でも、混乱が広がっているという。ただでさえ前任の簗前農相が、「予算カット」ドーカツ発言などのスキャンダル連発で、14日に事実上更迭されたばかりだ。
「現在、農政では米価急落や、米国産生食用ジャガイモの輸入解禁議論など、複数の重要な課題を抱えています。農相が疑惑の釈明に追われて、農政が停滞してしまわないか、官僚も困惑しています」(農水省担当記者)
野党は「死人に口なし」を許すな。
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