「ノースサファリ」の動物受け入れ、札幌の会社が新たな施設計画…警戒感根強く用地交渉には影響も

昨年9月に閉園した民間動物園「ノースサファリサッポロ」(札幌市南区)の旧園内に残る動物の受け入れ先として、北海道アニマルワールド(同)が新たな保護飼育施設の建設を計画している。動物が快適に過ごせるようにアニマルウェルフェア(動物福祉)に配慮した飼育を目指すことなどを構想しているが、無許可開発が繰り返されたノースサファリの悪印象が根強く、計画にも影響が出ている。(井上大輔)
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10月中旬、ノースサファリサッポロの旧園内の獣舎を訪れると、北海道アニマルワールドの飼育員らが、ワオキツネザルやケヅメリクガメに優しく声をかけながら餌を与えていた。
旧園内に残る220匹(9月末時点)の動物の大部分は、投資会社ビーチキャピタル(東京)が引き取りを表明。約20人のノースサファリの飼育員らも受け入れ、旧園内で動物の飼育を始めた。その後、北海道アニマルワールドが事業を引き継ぎ、飼育員の人件費や動物の餌代など月約1000万円を捻出しながら飼育を続け、新施設の計画も進めている。
新施設は、東京ドーム約2個分に当たる3万坪程度の敷地を現時点で想定。動物が野生に近い環境で暮らせるような獣舎に加え、動物の生態を学べる場所を整備する構想を練っている。動物福祉や野生動物との共生などを学ぶ教育プログラムの実施も目指すという。
新施設の建設地には、札幌市周辺の3か所が候補に挙がっているが、北海道アニマルワールドの松本美保取締役は「ノースサファリサッポロの動物ということで警戒されることが多く、用地交渉などに時間がかかっている」と実情を語る。
動物の飼育と新施設の建設は北海道アニマルワールドが行うが、同社とノースサファリの運営会社「サクセス観光」とを混同し、嫌悪感や警戒感を抱く人がまだ多いという。旧園内の土地や獣舎、動物などの所有権がサクセス観光にあることも、こうした誤解を助長しているとみられる。
松本取締役は「直接会って説明すれば分かってもらえるが、全ての人に説明して回るのは難しい。施設の建設には住民の理解も必要なため、慎重に動かざるを得ない」と語った。
新施設の建設費用は、北海道アニマルワールドが保有する数億円の資金に加え、協賛企業からの支援や寄付などで賄うという。寄付の申し出も多く寄せられており、同社は自社製品の販売やクラウドファンディング形式の寄付ができるウェブサイトを作る予定だ。
将来的に施設の経営資金を自社で賄うための第一歩として、飼育する肉食動物の排せつ物を活用した野生動物の忌避剤の開発にも取り組んでいる。
専門家の協力を得ながら、シカなどが頻繁に現れる園内の3か所にカメラを設置し、ライオンやオオカミなどの排せつ物を置くことでどのような影響が出るかを調べるという。研究機関や企業との連携も視野に実験を進めており、将来的に商品化を目指す。
松本取締役は「動物は保護されるだけの存在ではなく、社会に貢献できる可能性を秘めている。野生動物による被害が全国各地で深刻化する中、人と動物との共生に貢献できる方法を探していきたい」と話した。
違法建築物除却、期限は今月末
市街化調整区域で無許可開発を繰り返したとして、札幌市がノースサファリサッポロの運営会社「サクセス観光」に出した除却命令の期限が10月末に迫っている。旧園内には9日時点で25棟の違法建築物が残されており、期限までに撤去を終えられない見通しだ。
市は開園前から20年以上にわたり行政指導を行ってきたが、同社は違法建築物を増築。閉園以降は一部が撤去されたが、市は今年3月、残された違法建築物37棟の撤去を求める除却命令を出した。
市は11月上旬にも現地調査を行う予定で、違法建築物が残っていた場合は再度撤去を求める「履行催告」を出す方針だ。除却命令の不履行は都市計画法の違反に当たり、刑事罰の対象となる。市は今後、刑事告発や自治体が所有者に代わって撤去する「強制代執行」も視野に、同社に早期の除却を引き続き求めていく。