「ワシに下手を打たせる気か」「会社の金で払っとけ」
大物親分は子分をこうどやしつけ、多額の現金を工面させていた。
自身の裁判の弁護士費用に充てるため、当時組員だった男性から現金を脅し取ったとして、「2代目宅見組」組長の入江禎容疑者(81)が27日、恐喝の疑いで京都府警捜査4課に逮捕された。
入江組長はかつて「山口組」のナンバー3として総本部長や舎弟頭を務めた大物ヤクザだ。分裂後の「神戸山口組」では井上邦雄組長(78)に次ぐ副組長だったが、2022年、神戸山口組を離脱した。
そんな大親分が、杯を交わし、忠誠を誓ったはずの子分から「恐喝被害」を訴えられ、警察に突き出されたのだからオドロキだ。
入江組長は24年6月中旬から25年5月上旬にかけ、当時、組幹部で不動産会社役員だった男性Aさん(62)から、8回にわたって1280万円を脅し取った。
弁護士費用というのは、神戸山口組が運営していたヤミ金融業を巡る民事裁判に関するもの。東京のコンサルティング会社が20年、10億円の融資を受ける条件として2億5000万円を組側に送金したが、融資は行われなかった。翌21年、コンサル会社から民事訴訟を起こされ、24年5月、1審判決で暴対法に基づき、代表者責任として井上、入江両組長に連帯して2億7000万円の賠償命令が下された。
■カネに困っていたのか?
宅見組の不動産関連会社の役員だった被害者のAさんは23年、大阪・千日前の一等地にあった「宅見組」事務所を3億3000万円で売却した。入江組長が「会社の金」と言ったのは、この不動産会社のカネのことだった。Aさんは今年9月、組を辞め、警察に相談した。
「ヤクザが代表をやっていた会社なので、組事務所の管理以外の事業はなかった。組幹部に運営を任せていたため、入江組長にしてみれば『オレの会社なんやから、言うことを聞け』ということやったんやろ。Aさんは『親分、そんなことしたら会社が潰れます。会社を守らんと組がなくなってしまいます』と説明したが、入江組長は聞く耳を持たなかった。入江組長を含む幹部連中がAさんを脅し、Aさんは必死で現金をかき集めた。生命の危険にさらされたAさんは足を洗って被害を訴えるしか、生き延びる道はないと覚悟を決めたといいます。組長本人は高齢になったが健康状態に不安はなく、ピンピンしている」(捜査事情通)
大阪・豊中の高級住宅街にある敷地面積231平方メートルの入江組長の自宅はすでに強制競売にかけられ、一部所有権が移転している。長年仕えた子分からチンコロされ、住み慣れた大豪邸から追い出される可能性もある。