兵庫県警は阪神タイガースの試合のチケットを転売して利益を得ていたとして兵庫県姫路市の無職の男A(28)と親B子(56)を「チケット不正転売禁法」違反容疑で逮捕した。男は古刹の住職の息子だが、修行ではなく、チケットを右から左へ流すだけの転売ヤー業にハマっていたとみられる。
【画像】「まさか住職の息子が…」阪神チケット不正転売で逮捕された母子も暮らしていた古寺
約3500枚を転売、売上4200万円…逮捕された住職の息子の素顔
兵庫県警は10月15日にAとB子を逮捕したと、発表した。2の逮捕容疑は2026年3~4に共謀して、阪神戦のチケット12枚を約2万8000円で仕入れ、転売サイトを通じて3人に計約6万2000円で不正転売した疑い。2人とも逮捕容疑を認めているという。
「1枚約1900円のチケット5枚を、それぞれ約1万2000円(1枚当たり約2400円)と約3万5000円(1枚当たり約7000円)で、1枚約4400円のチケットを2枚で約1万5000円(1枚当たり約7500円)で、それぞれ転売したというのが逮捕容疑です。
このほかにサイトのアカウント記録を見ると、母子は2019年ごろから阪神戦をはじめとするプロ野球の試合やコンサートのチケットを約3500枚売っており、売り上げは約4200万円あったとみられます。ただし、これらは購入金額を確認中で、利益がいくらだったかはまだ分かりません。一部は時効にかかっている可能性もあります」と兵庫県警生活経済課は説明している。
2年連続リーグ優勝するなど近年好調な阪神。本拠地甲子園球場の試合は巨人戦など対戦カードによってはプラチナチケットとなっており「兵庫県警の警察官も当然阪神ファンはいっぱいいますが、『甲子園のチケットがなかなかとれへん』という話が出ることもあります」(捜査関係者)という状態だ。
さらに阪神はシーズン内の甲子園の試合を2月に一斉に売り出すことも転売市場の“需要”につながっている可能性もあるという。
「今年も阪神は2月に、その時点で甲子園で主催予定だった全62試合の入場券を売り出しました。このチケットは『主催者の同意なく第三者に有償譲渡してはならない』とされる特定興行入場券に該当するため、チケット不正転売禁法の対象になります。
ただ年間シーズンのチケットが2月に一斉に買われるため、シーズン途中で行きたくなっても買えないという状況もあります。そこに違法転売が出る余地があるのではないかとの指摘も出ています」(スポーツ紙記者)
約千年前の寛仁年間に開かれたとされる古寺の住職の息子だったAも、そんな阪神ファンの一人だった。疲れ切った表情で親族が事情を話す。
「Aは地元の名門私立中高から関西の有名私大に進んだ頭のいい子だったんです。でもいつの間にか大学を中退して、自分の部屋にこもってパソコンの前にずっといるような生活をしていました。母親のB子以外とはほとんど話もせず、ひきこもりみたいな感じです。
阪神? はい、Aは阪神ファンで、以前は甲子園にも応援に行ってました。最近はそれもなくなりましたけど、テレビで試合はよく見ていました。
普段はたまに散歩に出たりしてましたが、大体家にいて、本人は酒もたばこもやらないから夜に飲み歩くこともないんです。趣味もなく、高そうなものを買っていた気配もないので、お金を遣って遊びまわっていたとかでは全然ないんです」(親族)
「息子に頼まれるまま郵送の手伝いを…」母親も逮捕、住職の父親は謝罪に奔走
母親のB子はそんなAを心配して世話を焼いているうちに“共謀関係”になってしまったようだという。
「B子は夫の住職の仕事を支えている家族思いの人で、Aの生活も心配していろいろ面倒を見すぎるくらいだったんです。それでAに頼まれるままに郵送の手伝いをして、そのときにチケットとか阪神のグッズなんかも送っていたみたいなんですけど、B子自身は転売でお金儲けをしなければいけない理由なんかないし、ただただ自分の子が社会と何か関わりを持って仕事をしてくれるんなら、という気持ちだったと思います」(親族)
AとB子の逮捕前に兵庫県警は姫路署に家族全員を呼んで事情を聞いたりもしたという。
「私は詳しいことはわからないんですけど、転売って、買った人も納得して買っているんじゃないんですか? 今回、『何千万円も売り上げていた』みたいに言われてますけど、それが全部儲けになるわけでもないし……。
住職も今回のことがあっていろんな役を降りて、みなさんに謝罪して回ってます。どうしてこんなことになってしまったのか……」(親族)
だが、親族の主張とは裏腹に、転売ヤーによって健全な市場が歪められると、高い額を出さないと試合を観に行けなくなる。それを防止するため、チケット不正転売禁法が作られた。
「今回の捜査の発端は、球団がチケットの転売を知って県警に情報を伝えたことですが、球団が情報を伝えたのは今回逮捕されたAとB子だけではないとみられています。今後阪神チケットの転売ヤーへの捜査は拡大する可能性もあります」(地元記者)
球団は18日、AとB子の逮捕を受け、公式SNSで、 〈このたび、転売仲介サイトにて当球団ホームゲームのチケット不正転売行為が確認されたため、この者たちに対して「試合観戦契約約款」並びに阪神タイガース公式ファンクラブ2026年会員規約に則り、阪神タイガース公式ファンクラブ会員資格取消し処分を行いました。〉 と発表。
また、阪神のチケットの不正転売は、 〈1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその両方が科されることがあります〉 と警告した。
いちファンとして入ったファンクラブ会員の特典でチケットを買った可能性もあるAは、応援していた球団が禁じるチケットの高額転売に関与したとして、母親とともに逮捕された。「転売ヤー」という虚業は違法行為であることをきちんと認識するべきだろう。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班