≪生後3か月の娘を殺害・車椅子インフルエンサーに求刑10年≫67カ所の傷は急所に集中…犯行前に「人殺し・赤ちゃん・懲役」と検索、法廷で「優愛ちゃんのお墓の場所を教えて」

〈「小さな体に67か所も傷をつけられた娘と同じ苦痛を…」車椅子インフルエンサー被告の元夫が公判で訴えた無念…被告は「二度と恋愛、結婚したくない」〉から続く
生後3か月の長女・優愛ちゃんを包丁で67カ所切りつけるなどして殺害した罪に問われている「車椅子インフルエンサー」の内藤沙月被告(29)。11月5日に東京地裁(宮田祥次裁判長)で開かれた論告求刑公判で、検察側は「殺意は強固で、極めて残虐な犯行」として拘禁刑10年を求刑した。
〈画像〉「将来、赤ちゃんは産めませんといわれていたが…」産まれたばかりの小さな娘と手をつなぐ内藤被告のSNS投稿
一方、弁護側は行政の支援不足などを訴え、執行猶予付きの判決を求めた。最終陳述で内藤被告は声を震わせ、「優愛ちゃんの分まで一生懸命、生きていきます」と語った。
「確実に死なせるだけでなく、過度に苦しめた」
内藤被告は2025年11月、東京都世田谷区の自宅マンションの浴室で、生後3か月の長女・優愛ちゃんを包丁で切りつけるなどして殺害した罪に問われている。 10月21日の初公判では起訴内容を認めたものの、その後の被告人質問では「優愛ちゃんを切りつけたことは覚えていない」と述べていた。 論告求刑公判が開かれた11月5日、東京地裁には開門前から傍聴希望者が列をつくった。用意された傍聴席28席に対し、60人以上が集まった。 この日の内藤被告は、黒のカーディガンに白の襟付きシャツを着用。髪を一つに結び、黒縁のメガネをかけ、額の一部には赤みが見られた。 車椅子を押されて入廷すると、落ち着いた様子で検察官の論告に耳を傾けた。
内藤被告が「覚えていない」と語る犯行を、検察側はどう評価したのか。司法担当記者が解説する。 「検察側が殺意の強さを示す事情として挙げたのは、優愛ちゃんに残された67か所の傷だけではありません。 内藤被告が犯行前にスマホで『人殺し・赤ちゃん・懲役』などと検索し、元夫に『優愛ちゃんと2人きりで過ごしたい』と伝えていたことや、元夫が帰宅しないよう育児記録アプリに虚偽の記録を残していたことも指摘しています。 弁護側の『睡眠薬の影響で意識がもうろうとしていた』との主張には、頸部などの急所に傷が集中していたと反論。 『確実に死なせるだけでなく、優愛ちゃんを過度に苦しめた』『殺意は強固で、極めて残虐な犯行』と糾弾しました。 たとえ睡眠薬の影響で記憶がなくなっていたとしても、『利己的な動機は変わらない』という主張です」
検察側は、内藤被告が産後3か月の不安定な時期に元夫との関係に悩み、自身に障害があるため親権を取られると考えていたことは認めた。 しかし、娘と離れて暮らすことへの不安があったとしても、犯行を正当化する理由にはならないとした。 「両家の親族を交えた話し合いでは、親権は裁判で争うこととし、どちらが親権を得ても、もう一方の親に会わせることまで決まっていたようです。 内藤被告は『娘の入学式などに参加したかった』『生後3か月で離れ離れになれば、自分は産んだだけになってしまう』という趣旨の供述をしています。しかし、優愛ちゃんは父親のもとで育つ環境も整っていた。 検察側は『娘を取られたくない気持ちや、周囲からどう思われるかを優先した、極めて身勝手な動機』と断じました」(同)
「適切な支援があれば事件を防げた可能性があった」
一方、弁護側は優愛ちゃんが亡くなった結果の重大さを認めつつ、内藤被告が精神的に追い詰められていた事情や、行政の支援不足を考慮するよう求めた。 「弁護側は、内藤被告が元夫との口論や親権をめぐる不安から精神的に追い詰められ、『優愛ちゃんと一緒に浴槽でおぼれて死のうと考えていた』『包丁は自分のために用意していた』として、改めて無理心中を図ったと主張しました。 優愛ちゃんに繰り返し傷を負わせた記憶はなく、『意識がもうろうとするなかで、自分の体と間違えて娘を傷つけた可能性が残る』とも説明しています。
また、行政の部署間の連携不足で必要な支援が届かなかったと強調し、『適切な支援があれば事件を防げた可能性があった』と訴えました。 事件後、世田谷区の障がい福祉担当者が『適切な対応をできなかった』と不備を認め、謝罪したことも挙げています」(同)
自首を量刑にどう反映させるかについても、検察側と弁護側の主張は対立した。 「弁護側は、内藤被告が自ら通報したことから『自首の成立』を刑を軽くする事情に挙げています。 検察側も自首の成立は認めたものの、通報よりも先に、SNSのフォロワーに向けて夫への悪口や犯行を正当化する投稿を優先していたとして、『身勝手で、自己保身が顕著』『自首は量刑上、過度に重視すべき事情ではない』と主張しました」(同) 検察側は「将来の可能性があった優愛ちゃんの命を、守るべき実母が奪った結果は重大」と指摘。「娘の人生の重さを受け止めて重い刑に服してほしい」という父親の処罰感情も考慮すべきだとして、拘禁刑10年を求刑した。
一方、弁護側は「娘への愛情はあったものの、障害や支援不足で育児の見通しを持てず、無理心中をするしかないと思い詰めた」と主張。 「現在は、優愛ちゃんの命を奪ったことを心から後悔している」として、拘禁刑3年、保護観察付きの執行猶予5年の判決を求めた。
「優愛ちゃんの分まで一生懸命、生きていきます」
内藤被告は、弁護側の最終弁論中、唇を震わせ、鼻を赤くする場面もあった。 最終陳述では、車椅子を押されて証言台の前まで進み、声を震わせながら「昨日で事件から1年が経ちます」と切り出した。
「逮捕されてから1年間、ずっと優愛ちゃんに申し訳ないことをして後悔する毎日を過ごしてきました。 優愛ちゃんは戻ってきませんが、これからもずっと優愛ちゃんのことを思って、優愛ちゃんの分まで一生懸命、生きていきます。 元夫に悲しい思いをさせて、申し訳ございませんでした。可能なら優愛ちゃんのお墓の場所を教えていただきたいです。一生かけて罪を償っていきます」 そして最後に、検察側の席に向かって元夫の名前を呼び、「申し訳ございませんでした」と頭を下げた。判決は11月13日に言い渡される予定だ。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班