台風19号は海面水温の高い海域で急発達する「急速強化」を経て、東南海上に暖かく湿った空気を引き込む巨大な水蒸気の流れ(水蒸気帯)を発生させていた。列島へ“直送”された湿った空気は山地にぶつかって雨雲となり、記録的な大雨となった。地球温暖化で強力な台風の発生確率が高まる恐れも指摘される。
台風19号は本州の南東約1800キロで発生し、8日にかけて中心気圧が915ヘクトパスカルまで急降下。24時間で急発達する「急速強化」が起きた。通常は北上して海水温が下がると衰えるが、19号は列島南岸に至るまでの水温が平年より1、2度高い27~28度だったため、勢力を維持し、ピーク時は米国で最強クラスに分類される「スーパー台風」レベルの猛烈な勢力となった。
気象庁によると、19号の東側では数千キロにわたり暖かく湿った空気を熱帯から引き込む水蒸気帯が発生。湿った気流は太平洋高気圧の縁を回る気流の影響を受けてまっすぐ北上。列島付近で南東風となり東日本の山地で上昇気流となって雨雲が次々と発達した。
こうした水蒸気帯は台風と同時に生じることがあるが、気象庁アジア太平洋気象防災センターの永戸久喜所長は「今回は特に勢力が強く、かなり大規模な水蒸気量が川のように流れ込み、山地へぶつかったのではないか」と分析する。
今後、温暖化で強力な台風が増える恐れもある。国連の報告書では、地球温暖化が今のペースで続くと世界の平均気温が約20年後に18~19世紀の産業革命前より1・5度上昇する恐れがあるとされる。
国立環境研究所地球環境研究センターの江守正多(せいた)・副センター長は「一般に海水温が1度上がれば、その分だけ台風の勢力は強くなる。温暖化により今回と同じか、それ以上の勢力の台風の襲来率が上昇するのは明らかだ」と警鐘を鳴らしている。