南海電鉄の特急「ラピート」(1編成6両)の台車に亀裂が見つかった問題で、南海は運行中のラピート用車両4編成について、運行前の台車の特別点検を毎日実施することにした。従来、国土交通省の基準に従い、目視点検を10日ごとに行っていたが、亀裂の発生原因などがいまだ不明で、「異例の対応」(広報部)に踏み切った。期間は未定という。
国交省は「鉄道技術基準省令」で鉄道事業者に車両の定期的な検査を義務づけている。検査と検査の間の最短期間は明示されていないが、大手事業者では10日ごとの検査が一般的という。
しかし、今回の亀裂は定期検査では確認されず、今月23日の運行中に車掌が異音に気付き、これを受けた検査で判明。ただ、台車のメーカーは「亀裂と異音の関連性は考えにくい」としており、国の運輸安全委員会の調査でも、異音の発生場所は編成の2、3号車間の連結部分で、台車の亀裂部分からは3~4メートル離れていた。
こうしたことから、南海は特別点検の毎日実施を決め、29日から開始。対象は、ラピート用車両6編成のうち台車の亀裂が見つからなかった4編成で、運行開始前に大阪市住之江区の車庫で検査員が各車両の床下に入り、亀裂が発見されたモーター付近を中心に台車を目視で点検している。同社広報部は「利用者に安心してもらうためにも、点検を強化すべきだと判断した」としている。【高橋昌紀】