変わり果て「まさかこれほど」=片付け、見通し立たず―台風被害の長野の住民ら

千曲川の堤防が決壊し、広範囲で浸水の被害を受けた長野市の穂保地区。水が引いた箇所では15日、多くの住民が家屋の片付けに追われた。「見通しが立たない」「まさかこれほどとは」。変わり果てた自宅を目にし、住民らは肩を落としながら、泥をかき出し、家具を搬出するなどの作業を続けた。
「どれ位かかるか見通しが立たない」。農業米沢孝典さん(81)は先が見えない状況に肩を落とした。自宅1階の畳や家具、電化製品などは水に漬かり、ほとんどが使えない状態に。外に運び出すには、玄関前の泥をかき出して人が通れる状態にしなくてはならないが、ふくらはぎの高さまである泥は水分を多く含み、すくって集めることが難しい。重い泥に足をとられながら行う作業は、体力を奪われ大きな負担になっている。
自宅近くのリンゴ畑には「シナノゴールド」が実るが、収穫する時間はなく、貯蔵する蔵も水に漬かり扉が開かない。「だめになる」と諦め顔だ。
築80年を超える自宅は、妻と2人で暮らしていた。1階のキッチンを昨年に、風呂場を今年の夏にリフォームしたばかり。妻の豊子さん(79)は「1カ月で生活できるようになればいいけど」と困り果てた様子で話した。
米沢さんは、自宅が住める状態になるまで市内の三女の家で寝泊まりして、片付けを続ける。15日は次女夫婦と三女のほか、かつての職場の後輩らも手伝いに。豊子さんは「ありがたい」と感謝の言葉を口にした。
また、家具を外に運び出し、地区の集積所に持っていく作業をしていた60代の女性は「悲惨。まさかこれほどになるとは」と驚きを隠せない。自宅は2メートル近く浸水。子どもや知人らの手伝いで家財を搬出した。「目の前のことをこつこつやるしかない」と前向きに話した。