ノーベル化学賞受賞が決まった旭化成の吉野彰名誉フェロー(71)は15日、東京都江戸川区で開かれた日本化学会の催しで、受賞決定後初となる講演をした。講演は受賞決定を記念したもので、約700人の学生や研究者らが詰めかけた。他の開発者の業績や基礎となった技術にも触れ、「いろいろな人の貢献があって、今のリチウムイオン電池につながった」と語った。
吉野さんは受賞決定に先立って欧州特許庁の「欧州発明家賞」を今年受賞したことを紹介し、「産業界は(大学と異なり)論文を出せないハンディがあるが、欧州特許庁が認めてくれたのが大きかった」と振り返った。
また、「これからは環境とエネルギーの技術革命が世界を変えていく」と主張。今後電池の改良が進めば、リチウムイオン電池と人工知能(AI)を搭載した自動運転の電気自動車を社会で共有できるようになるとの見方を示した。
講演を聴いた千葉大大学院修士2年の井手一郎さん(25)は、企業に就職して電子機器の研究をするといい、「皆に使われる技術を作って吉野さんのように社会に貢献したい」と話した。
一方、吉野さんは14日、教授を務める名城大(名古屋市)で受賞決定後初めて授業をし、21人の学生が聴講した。授業は毎週月曜午前にあり、この日のテーマは「リチウムイオン電池の開発史」。特許の取り方や、先を見据えてニーズを考える大切さなどを教えた。【信田真由美、細川貴代】