9月に予定される内閣改造で、自民党の小泉進次郎衆院議員(38)が初入閣するかどうかに注目が集まっている。国民的な人気が高く、電撃的な結婚発表で世間を驚かせた小泉氏の入閣は長期政権で薄れた清新さのアピールになるが、閣僚への抜てきは将来の首相候補としてのステップアップを後押しする形にもなる。安倍晋三首相は腹のうちを明かさないが、自民党内からは起用をけん制する発言も出ている。
「新たな人材に突破力を発揮してもらう。安定と挑戦の強力な布陣としたい」。安倍首相は今月26日、フランスでの先進7カ国首脳会議(G7サミット)閉幕を受けた記者会見で、内閣改造の方針に「挑戦」を掲げた。小泉氏の処遇を尋ねる質問に直接答えず、意味深長な笑みを浮かべた。
衆院当選4回ながら「党の顔」として選挙応援に引っ張りだこの小泉氏だが、森友、加計(かけ)学園問題では政権批判に回った。昨年秋の党総裁選では石破茂氏を支持するなど、首相とは距離を置いてきた。
ところが小泉氏は7日に突然、首相官邸を訪問。首相と菅義偉官房長官に結婚を報告した。菅氏は10日発売の文芸春秋で「私は良いと思う」と閣僚起用にお墨付きを与え、政権との急接近ぶりをうかがわせる。
党内では具体的なポストも取り沙汰されている。党農林部会長、厚生労働部会長を務めた経験から農相や厚生労働相を予想する声があるほか、官房副長官も候補に挙がる。
官房副長官は閣僚に準じたポストで「若手の登竜門」だ。安倍首相も第2次森内閣で起用され、小泉氏の父、純一郎元首相に再任された。政府関係者は「首相が頭角を現すきっかけになったポスト。息子(進次郎氏)の起用でお父さん(純一郎氏)に恩返しする考えもあるのでは」とみる。
ただ、党内の各派閥には当選5回以上の入閣待機組も少なくなく、無派閥の小泉氏が入閣すればポストが減るだけ。二階俊博幹事長は27日の会見で、小泉氏の評価を問われ「将来性をもって活躍されているが、特別の考えは持っていない。何でも若ければいいってもんじゃない」とそっけなく答えた。