山口県周南市の周南屋台組合が15日、市内の養護老人ホーム「きさんの里」で入所者約90人にラーメンやおでんなどを振る舞った。1960年から続く秋の恒例行事だ。きさんの里が来年10月に移転するため、組合は、60回目の節目を最後の慰問と決めた。心待ちにしていたお年寄りたちは、思いを込めた屋台の味に舌鼓を打った。【松本昌樹】
訪れたのは、市内の昭和通りで屋台「華蓮亭」を営む山口信行さん(65)。常連客らも最後の慰問と聞いて手伝いに駆け付け、なじみの屋台を高台のホームまで運び上げた。
人情屋台の開店はちょうどホームの夕食のころ。屋台が中庭に据えられ、赤ちょうちんの明かりが夕闇にともると、お年寄りたちは出来立てのラーメンや温かいおでんをテーブルに運び、笑顔で味わった。
入所10年になるという中村汎(ひろし)さん(81)は「毎年楽しみにしていた。今年で終わるのは残念だが今まで続けてくれたことに感謝します」と最後の慰問を惜しんだ。
山口さんによると最盛期には、市内のJR徳山駅前や平和通り、昭和通りなどに18軒の屋台が軒を連ねたが現在は、3軒に減ってしまった。
山口さんは「慰問は『店を育ててくれた人や町への恩返しに』と先輩たちが始めた。自分の代で終えるのはつらいが、時代の流れで仕方ない」と、ほろ苦く話した。