本来受け取るべき残業代が支払われていないとして、映画「海獣の子供」などで知られるアニメ制作会社「スタジオよんどしい」(東京都)の男性社員(25)が18日、同社に未払いの残業代約285万円などの支払いを求め、東京地裁に提訴した。裁量労働制が違法に適用されたと主張している。
訴状などによると、男性は2016年4月に正社員として入社。今年5月まで、米アカデミー賞長編アニメ部門のノミネート候補となった「海獣の子供」のスケジュールやスタッフなどを管理する制作進行を担当し、最大で月100時間を超える残業があった。
三鷹労働基準監督署が6月、同社に対し、残業代について是正勧告をしたが、会社側は「タイムカードに記載された時間は実労働時間ではない」と主張し、支払いを拒否しているという。
18日に記者会見した男性や代理人弁護士らによると、会社側は、男性には18年4月~今年4月、専門業務型の裁量労働制が適用されていたとしているが、男性が労働条件通知書を受け取ったのは今年5月。裁量労働制に関する労使協定を結んだのは今年2月だった。そのため男性は、それ以前は適用されておらず、そもそもアニメの制作進行は裁量労働制に該当しないと主張している。
男性は、多くの同社社員やフリーランスのアニメーターらが過重労働になっているとし「残業代や適正な賃金が支払われることで長時間労働の抑制につながる。魅力的な仕事だと感じることがあるが、それではやりがいの搾取だ。裁判が業界全体の健全化につながってほしい」と訴えた。
会社側は「内容を確認していないのでコメントできない」としている。【矢澤秀範】