京都市伏見区の「京都アニメーション」第1スタジオの放火殺人事件で、発生から3カ月を迎えた18日、同社の八田英明社長が市内で初めて記者会見し、「本当に心が痛い」と胸の内を明かした。国内外から約32億円の義援金やメッセージが寄せられたことに感謝し、「これからも世界中の人たち、特に子供たちに発信していきたい」と決意を述べた。
八田社長は事件直後は取材を受けていたが、その後は弁護士に一任していた。今回は報道各社からの要請に応じた。冒頭、この3カ月間を「遺族の気持ちに沿って取り組んできた。(作品が)多くの人の心に届いていたことを報道で知り、驚いている」と振り返った。
事件ではスタジオにいた70人の社員・役員のうち36人が死亡した。重軽傷を負った33人のうち27人が職場復帰した一方で、退社した社員もいるという。京都府警によると、女性4人が入院している。
現在のスタッフは137人で、当初来年1月に公開予定だった「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の新作映画の製作に全力を挙げているという。公開は4月以降になる見通し。他の作品について、八田社長は「会社の制作能力や社員一人一人を見て考えたい」と語った。「これからの作品づくりに向けて人を育てたい」とも話し、採用試験を再開したことも明らかにした。
先月21日にスタッフと遺族で開いた「お別れの会」では「本当に良い仲間が犠牲になり、慚愧(ざんき)に堪えない。あなたたちの思いをつなぎ、これから頑張っていく」と話したという。殺人容疑などで逮捕状が出ている青葉真司容疑者(41)については「何を考えてこういう行動を起こしたのか。どれだけ多くの人が悲しみ悩み、人生を無くしてしまったか、思いを致してほしい」と一息に語った。
17日までに寄せられた義援金31億9244万円(18万653件)は遺族と被害者に分配され、会社の再建費は火災保険金や自社の蓄えなどでまかなう。第1スタジオは調整が付き次第、取り壊す方針。慰霊碑を建てるかは決まっていないという。
11月3日と4日の午前10時~午後5時、京都市左京区の「みやこめっせ」(市勧業館)で一般向けのお別れ会を開く。【南陽子、国本ようこ、矢倉健次】