ローソンが、コーヒーの品質向上に心血を注いでいる。10月22日から全国で展開していく新たなコーヒーでは、焙煎の方法を見直す。また、リニューアルしたコーヒーをより良く楽しんでもらうため、ホットコーヒー専用の“ふた”を新たに開発したという。
今回のリニューアルでは、「香り」を重視。ローソンではこれまで、「原料」や「味わい」に注目してリニューアルを重ねてきた。原料面では、指定した農園、生産地域の豆を100%使用したり、環境に配慮して生産された豆のブランド「レインフォレスト・アライアンス」認証を受けた豆を使用したりするように変更。味わい面では、雑味を軽減したりコクを強調させたりしてきた。
今年のリニューアルで香りへと舵を切った理由について担当者は「お客さまがコーヒーに求めるものが『香り』だということが分かった」と話す。全日本コーヒー協会(東京都中央区)が2017年に発表した「コーヒーの需要動向に関する基本調査」によると、コンビニコーヒーが含まれる「レギュラー」コーヒーの分野に求められるものは「香りがよい」(71.6%)がダントツ。「味にコクがある」(46.1%)「眠気ざましになる」(38.8%)と次ぐ。ちなみに、他のコーヒージャンルではどうなっているのだろうか。「インスタント」ではトップが「飲みやすい」の50.2%。香りについては20.7%と全体の3位となっている。「リキッド」「缶コーヒー」ではそれぞれ5.3%、5.5%とあまり香りは重視されていない。
担当者によると、コーヒーの香り成分は800種類ほど。こうした膨大な数の成分をいかに配合するかで香りの良し悪しが決まるという。また、香りは極めて直感的なものであり、「好き」か「嫌い」の2パターンしかなく、多くの人で好みが一致するのだとか。
そこで、リニューアルでは焙煎方法を見直すとともに、ブレンドも見直したという。「ほとんどのコーヒーは、多くても4焙煎。それがローソンでは5焙煎」と担当者は胸を張る。これにより、「香りの総量」を示す指標である「総香気量」は従来比107%に向上したという。
新開発の「香りフタ」は特許出願中
リニューアルした香りを生かすため、新たにふたも開発。それが「香りフタ」だ。「リニューアルを進めていく上で、どんなに香りを良くしても、ふたの穴から飲む場合にはプラスチックのにおいがしてしまうことに気付いた」と担当者。
もともと、こうしたふたには何種類かパターンがあった。お客が自分で穴を開けて香りを楽しめるようにしているふたや、飲み口などとして最初から穴が開いているふただ。しかし、お客が自ら穴を開けるものは、開けた部分のゴミが出てしまうし、手間がかかる。かといって、最初から穴が開いているものだと、持ち運びが前提となっているコンビニコーヒーではこぼれる危険性がある。
そこで、香りフタでは飲み口を開けると香り用の穴が自動的に開く仕組みにした。飲み口を閉じれば、香り用の穴も閉じる設計だ。また、香り用の穴は、飲むときに鼻が当たる場所に設置。ぴったりと鼻に当たるので、直接的に香りを楽しむことにできる。開発については数社のメーカーと協議し、20パターンほどの中から最終的にこのデザインを選択したという。現在特許も出願中だ。当座はブレンドコーヒーのSサイズ(100円、以下同)のみでの提供で、Mサイズ(150円)やLサイズ(180円)、ならびに新たに登場する「メガサイズ」(270円)でも順次対応していくという。
なぜ、ここまでしてコーヒーにこだわるのか。「我々が先行者であるという自負は間違いなくある」と担当者。実はローソン、コンビニコーヒーの中で先駆者的立ち位置なのだ。今ではコンビニ各社がしのぎを削るコーヒーだが、大手3社の中ではローソンが先行。11年に「MACHIcafe」として提供を開始している。セブン‐イレブンでは13年にセブンカフェを開始、ファミリーマートは同年11月に開始と、いずれもローソンに遅れて市場に参入している。
担当者によると、コーヒー分野は好調に推移。開始から18年まで7年連続で売り上げが伸びていた。しかし、19年は今のところ横ばいで推移しているという。「セブンがカフェラテを刷新した影響もある」と担当者は分析している。今回のリニューアルには、こうした状況に対する焦りも少なからずありそうだ。周辺を見渡すと、マクドナルドも10月にコーヒーをリニューアル。2年9カ月ぶりとなる今回のリニューアルでは、味を見直すとともにレインフォレスト・アライアンス認証の豆に切り替えたという。増税で消費者の目が厳しくなる中、低価格で高品質を味わえるこうしたコーヒー市場で激戦が起こりそうだ。