「公害の原点」とされる水俣病の犠牲者慰霊式が19日、熊本県水俣市で営まれた。水俣病の公式確認から今年で63年となる中、患者や遺族ら約830人が鎮魂の祈りをささげた。
式典は例年、公式確認日(5月1日)に行われるが、今年は天皇陛下の即位に伴って延期された。参列した小泉進次郎環境相は「被害拡大を防げなかったことをおわびする」と陳謝。患者・遺族代表の「祈りの言葉」では、水俣病で夫(当時33歳)と長女(当時2歳)を亡くした上野エイ子さん(91)=水俣市=が「亡くなった人たちの命を決して無駄にしないでください。水俣病のことを忘れないでください」と訴えた。
式典後、小泉環境相は被害者団体と懇談。団体が求める八代(やつしろ)海沿岸の住民健康調査について、小泉環境相は「皆さんの気持ちを酌んで何ができるか考えたい」と述べるにとどまった。
水俣病の認定患者は熊本、鹿児島両県で計2283人(9月末現在)。今も1667人(同)が審査を待っている他、患者認定などを求める訴訟が各地で続いている。【城島勇人】
水俣病
熊本県水俣市のチッソ水俣工場が八代海に流した排水に含まれるメチル水銀が魚介類に蓄積し、食べた人たちが発症した中毒性の神経疾患。母の胎内で水銀の影響を受けた胎児性患者もいる。1956年5月1日に公式確認されたが、原因確定が遅れ公害病認定は68年にずれ込んだ。初期は激しいけいれんなどを起こし短期間に亡くなる劇症型の患者が多く出た。現在の患者の多くは手足のしびれなど慢性的な症状に苦しむ。