水俣病の犠牲者慰霊式が19日、熊本県水俣市で行われた。公式確認から63年。患者団体は被害の全容解明のため住民の健康調査を国に求め続けているが、調査を課した特別措置法の施行から10年がたった今も実施のめどは立っていない。
慰霊式には患者や遺族のほか、小泉進次郎環境相や原因企業チッソの関係者ら計約830人が参列して犠牲者を追悼。式典は例年、水俣病が公式確認された5月1日に開かれているが、今年は天皇陛下の即位と重なり延期された。
式典では、水俣病の被害を伝える「語り部」として活動する認定患者の上野エイ子さん(91)=水俣市=が、「どうか皆さん、水俣病のことを忘れないで」と祈りの言葉を読み上げた。
上野さんは劇症型水俣病で夫を亡くし、胎児性患者の娘を2歳で失った。時折声を詰まらせながらも、「一度でいいから、(娘に)母ちゃんと呼んでほしかった」と訴えた。
小泉環境相は「環境省は水俣病をきっかけに生まれた組織であることを決して忘れない」と述べた。式典後の記者会見では、健康調査実施について「具体的な時期を答えることは困難だ」と従来通りの見解を示した。