愛された「カモノハシ」 東海道新幹線700系、来春引退 JR西は運転継続

JR東海は2020年春のダイヤ改正までに、カモノハシのくちばしに似た先頭形状で親しまれている新幹線「700系」を引退させる。従来の新幹線とは顔立ちが一変し、「新幹線のお医者さん」と呼ばれる点検車両「ドクターイエロー」のベースでもある人気者だが、1999年のデビューから約20年で役目を終える。【三上剛輝】
700系は、能面のような顔立ちで「鉄仮面」とも呼ばれた300系の後継車両としてJR東海とJR西日本が共同開発した。細長く突き出た先頭の形が特徴。空気抵抗を減らし、トンネル進入時に発生していた騒音を抑制した。西日本では20年春以降も継続運転する見込み。
300系と比べ、東海道区間での営業運転の最高速度(270キロ)や東京―新大阪間の所要時間は変わらないが、車体の振動を抑制したり、モーターの音を聞こえにくい周波数に変えたりするシステムを搭載。車両に詳しい同社リニア・鉄道館の天野満宏館長は「高速鉄道において環境への配慮と乗り心地の向上を追求した一つの完成形。現在主力のN700Aのベースにもなっている」と話す。
JR東海にはピーク時に60編成(1編成16両)在籍していたが、ブレーキ性能などに優れた後継のN700Aへの置き換えが進み、現在は4編成のみ。700系がデビューした99年に新幹線の運転士免許を取得した森隆さん(46)=現JR三河安城駅助役=は「人気の最新車両をしっかり扱えるか、どきどきしながら運転した」と当時を振り返り、「最前線で一緒に頑張ってきた同期のような存在。引退の日はできれば見送りをして『お疲れ様』と言いたい」と話す。JR東海では来春、お別れイベントの開催も検討する。

進む高速化 最高時速285キロに
東海道新幹線は64年、世界初の高速鉄道として東京―新大阪間で開業した。在来線で6時間半かかった同区間を4時間で結び、「夢の超特急」と呼ばれた。
2階建てグリーン車や個室などを導入した100系が投入され、86年には同区間の所要時間は2時間52分に。さらに初代「のぞみ」として92年に登場した300系は東海道新幹線として当時最高の時速270キロ(営業運転時)を実現し、所要時間は2時間半まで短縮された。
今回引退する700系などを経て13年、N700Aがデビュー。2年後には営業運転時の最高時速が285キロにアップした。20年春のダイヤ改正までに全車両をN700Aタイプに統一し、現在最大1時間10本の「のぞみ」を12本に増発する。合わせて20年度には、搭載したリチウムイオン電池で停電時に数キロ自力走行できる「N700S」も投入される予定だ。
スマートEX 登録者300万人超え
東海道・山陽新幹線の座席をインターネットで予約するシステム「スマートEX」の登録者数が開始から2年の9月末までに300万人を超えた。交通系ICカードと連携させればチケット要らずとなり、カードをかざすだけで自動改札機を通ることができる。JR東海はリニア中央新幹線でもネット予約の導入を計画。15日からキャンペーン企画も始めた。
スマートEXは会費無料で、手持ちのクレジットカードとSuica(スイカ)、TOICA(トイカ)、ICOCA(イコカ)など交通系ICカードの番号をネットで登録。スマートフォンで予約でき、変更も改札を通る前なら何度でも無料で可能だ。
JR東海によると、同様の機能が使える会員制システム「エクスプレス予約」の登録者を合わせると、指定席利用者の4割はネット予約を使っているという。2027年に東京・品川―名古屋で開業予定のリニアでもネット予約を主流にしたい考えで、金子慎社長はチケットレスを「限りなく前に進めたい」としている。
JR東海とJR西日本は15日から3カ月間、スマートEX利用時に自動改札機から発行される利用票を、くじに見立てたキャンペーンを実施。当たりが出たら利用票は350円分の商品券として駅の店舗などで使える。