女子高生襲う「AirDrop痴漢」の悪質すぎる手口

「AirDrop痴漢」の被害が増えている。被害に遭わないためにどんな対策が必要なのか解説していきます(写真:tdub303/iStock)
近くのiOS端末と画像などを共有できるiPhoneの機能、「AirDrop(エアドロップ)」。この機能を悪用した「AirDrop痴漢」が頻発している。
8月、福岡県警によって、AirDrop痴漢が初めて摘発された。37歳の男が、電車内で34歳男性のiPhoneに女性のわいせつな写真を送信した疑いで書類送検されたのだ。被害男性は電車内でスマホを手にしながら周囲をうかがう男を発見し、通報。男は過去にも何回か同じことをしていたという。
AirDropの悪用で今、どのような被害が起きているのか。具体的な事例と対策について解説したい。
先日、ある女子高生がAirDrop痴漢に遭った。
高校に向かう朝の電車内で、「◯◯が1枚の写真を共有しようとしています」というメッセージと共に、男の陰部が写ったわいせつな画像が送られてきたそうだ。パニックになった彼女は、思わず「受け入れる」「辞退」から「辞退」を選んだ。しかし、辞退を選択したため端末に証拠が残らず、警察に届けることもできなかった。こうした手口は、「サイバー露出」とも呼ばれている。
見知らぬ人から画像が送られても、受信者側で拒否することはできる。しかし、送信された時点でプレビュー画面が表示されてしまい、不快な画像を見せつけられてしまう。わいせつ画像のほか、ホラー画像などを嫌がらせ目的で送る例もあるようだ。俳優の加藤諒さんも、新幹線内で携帯電話をいじっている自分の写真が送られる被害に遭ったことをTwitterで告白している。
俳優・加藤諒さんが被害を受けたときのツイッター(Twitter:https://twitter.com/kato_641/status/1051376524887093253)
女子高生のAirDrop痴漢被害は、年々増加傾向にある。10代向けファッション雑誌の企画で、女子高生にスマホ関連の悩みを聞いたところ、数年前と比べて「AirDrop痴漢」という回答が目立ってきている。
女子高生のiPhone支持率は高く、データ通信量不足に悩んでいる彼女たちにとって、AirDropはありがたい機能だ。というのも、Bluetooth経由でデータを送受信でき、通信量がかからない。「エアドロがあるからiPhoneを使っている」という子もいる。
AirDrop機能を使う女子高生を襲うのは痴漢だけではない。同機能を経由して「ナンパ」された女子高生もいる。
ある女子高生は、空いている車両で「◯◯ちゃんでしょ。△△女子高に通っているんだね」と知らない男に声をかけられた。「僕の写真送るからね」と言われ、スマホに表示された男の写真を見た彼女は、恐ろしさのあまり知らない駅で降りてしまったという。制服姿だったので高校名がわかるのは理解できるが、名前を呼ばれたこと、さらに写真まで送られたことで驚き、恐怖で頭が真っ白になったそうだ。これもAirDrop機能を悪用したものだ。
AirDropは近くにいる相手を表示するようになっていて相手を特定できる場合もある(写真:「Appleホームページ」より)
Wi-Fiネットワーク接続時、「◯◯のiPhone」という名前を見たことがある人は多いだろう。AirDrop機能を使った場合も、同様にiPhoneの使用者の名前が表示される。
AirDropは最大9~10メートル離れた距離にいる相手を表示するようになっている。人混みでは難しいが、あまり人がいないところで使うと、相手を特定できる場合もある。
初期設定で本名を登録している場合、AirDrop機能を使うと「◯◯のiPhone」という表示から本名がわかってしまう。10代、20代の若者はTwitterやInstagramなどのSNSも本名登録していることが多く、本名を検索することでアカウントの特定までできてしまうことがあるので、注意してほしい。
AirDropでの痴漢やナンパなどの被害は、iPhoneの設定変更によって防ぐことができる。iPhoneの「設定」から「一般」→「AirDrop」とタップしよう。続いて、「受信しない」あるいは「連絡先のみ」と選べばよい。
「連絡先のみ」にすると、スマートフォンに連絡先が登録されている相手とのみやり取りできるようになる。普段は「受信しない」にしておき、AirDrop機能を使うときにだけ「受信する」にしてもいいだろう。
またAirDrop痴漢は、女性名を選んで送信していると考えられるので、女性とわからない名前で登録しておくといい。名前は、同じくiPhoneの「設定」から、「一般」→「情報」→「名前」とタップして変更できる。本名登録している人も、変更がおすすめだ。
とても便利なAirDrop機能だが、このようにさまざまな被害が起きている。思わぬ被害に遭う前に、ぜひ設定を変更してみてはいかがだろうか。