アジアの力、世界に証明=日韓の応援背に―ラグビーW杯・具選手

初の決勝トーナメント進出を成し遂げたラグビーワールドカップ(W杯)日本代表チームで、韓国出身の具智元選手(25)は、強豪相手に一歩も引かないスクラムを最前列で支えてきた。韓国のファンからも届くメッセージに「頑張っている姿を見せたい」と話していた具選手は、両国の応援を背に、W杯を初開催したアジアの力を世界に証明した。
小学6年でラグビーを始め、兄と共にニュージーランド(NZ)へ留学後、中学2年で来日。その頃から、元韓国代表で日本の社会人チームでもプレーした父、東春さんの厳しい英才教育を受けてきた。中学時代から指導に当たった日本文理大付属高(大分県佐伯市)元監督の染矢勝義さん(51)は、「毎朝5時起きでお父さんとランニングしたり、市民グラウンドで練習したりしていた」と振り返る。
中学3年で身長約180センチ、体重約100キロと体格に恵まれた具選手だったが、兄の智允さん(27)は「中学は走るラグビーで、体重が重い弟は活躍できず悔しそうだった」と明かす。
真価が発揮されたのは高校進学後。1年生で国体のメンバーに抜てきされた。染矢さんは、ラグビーは一人だけ強くても試合に勝てないことを教えようと、パスを禁止してひたすら突進させたことがあるが、20分間に4トライして驚かされたという。
父の教えに忠実に、練習には高い意識で取り組んだ。筋力トレーニングでは「こちらがストップさせるような練習量」(染矢さん)をこなし、家でもソファを使いスクラムの姿勢を鍛え、テレビを見ながら首をトレーニングした。
「めっちゃ喜んでいた」。具選手が高校日本代表に選出された際、韓国で連絡を受けた東春さんの様子を、隣にいた智允さんは今でも覚えている。
NZ留学時には仕事を辞めて駆け付け、大分へも一時期移り住み支えてくれた両親に、具選手は感謝する。「こんな両親になれるかなというくらい人生を尽くしてくれた。ラグビー選手としても、人としても尊敬しています」。