「釣り中の事故」は保険金殺人?真冬の海で何が…

事故から一転、殺人事件に。千葉県富津市で起きた謎だらけの殺人事件を追いました。

先月28日、宍倉拓也さんを保険金目的で殺害した疑いで拓也さんの養父・宍倉靖雄容疑者と佐中佑輔容疑者、金子栄司容疑者が逮捕されました。事件は今年1月、富津市で宍倉容疑者が営む建設会社の従業員で養子の宍倉拓也さんを容疑者の3人が海で溺れさせて殺害した疑いが持たれています。

拓也さんが宍倉容疑者の経営する会社で働き始めたのは4年ほど前。しかし去年、二人の関係に変化が。去年8月に2人は養子縁組をして親子となったのです。複雑な家庭環境で育った拓也さんは養子縁組について、友人に「拾ってもらった」と語っていたといいます。宍倉容疑者について、近隣の住民からはこんな話も聞きました。

近所の住民:「いろんな人が出入りしているから。何人か捕まっているし、今回の(事件とは)関係なく。関わりたくない」

養子に入った宍倉容疑者の生活環境は決して良いものばかりではなかったようです。そして養子縁組が成立した直後、宍倉容疑者はある行動に出ます。

宍倉容疑者は去年8月、拓也さんを養子にした後、立て続けに2つの生命保険を拓也さんに掛けたのです。受取人は宍倉容疑者本人でした。さらに、去年11月には拓也さんの母親が受取人になっていた保険を勝手に変更。受取人を宍倉容疑者に名義変更したのでした。

その後、3人の容疑者はSNSなどを使って殺害計画を練っていたということです。そして、今年1月、宍倉容疑者らは転落死と見せかけるために千葉市内の飲食店で拓也さんに大量の酒を飲ませたということです。その後、4人は車で富津市へ。午前5時前に到着した4人は海岸で釣りをしていました。そして、タイミングを見計らって拓也さんを海へ突き落としたということです。天気が悪い真冬の海で、早朝から釣りをするという不可解な行動。地元の人に話を聞きました。

男性:「荒れてるのに(釣りに)行かないですからね」

女性:「あまりいないですね、やっぱり危険だから。落っこちたら深いでしょ」

初めは事故だと思われていたこの一件。しかし思わぬことから事件の可能性が浮上しました。元は母親が受取人の保険金が去年11月の時点で宍倉容疑者になっていたことが保険会社に問い合わせて発覚したのです。これが捜査のきっかけでした。3つの保険で宍倉容疑者が受け取る金額は合わせて約5000万円。内偵を進めていた警察は保険会社に支払いを遅らせるよう指示。水面下で捜査を進めていたのです。

しかし、捜査は難航します。その理由の1つとして、防犯カメラがなかったことが挙げられています。千葉県警は先月25日、関係先の一斉捜査に踏み切り、宍倉容疑者らから任意で事情を聴いていましたが、容疑が固まったとして先月28日に逮捕しました。捜査関係者によりますと、金子容疑者は「自分が突き落とす役割だったが、ためらった」「佐中容疑者が転落させた」と話しているということです。佐中容疑者は「やっていない」と容疑を否認しているということです。また、逮捕された3人にはそれぞれ借金があったことが分かっています。金子容疑者は宍倉容疑者に借金があり、殺害計画を「断りきれなかった」などとも話しているということです。