国籍や年齢に関係なく、基礎的な教科や生活に必要な日本語を無料で学べる講座「きのくに学びの教室」が1日、和歌山県内4カ所に設けられた。この日は和歌山市と田辺市の2教室で開講式があり、新たな学びの場がスタートした。【山成孝治】
設置されたのは、きのくに青雲(和歌山市)▽伊都中央(橋本市高野口町)▽南紀(田辺市)▽新宮(新宮市)――の定時制課程がある県立4高校。さまざまな理由で義務教育を終えられなかった人や、日本語の習得を希望する外国出身者などが対象で、15歳以上の県内在住者を受け入れる。1日現在、4教室で計37人が受講を予定している。
いずれも週5日、午後に3~5時限の講義があり、中学校程度までの「国語」「数学」「英語」の3教科のほか、生活に必要な日本語や文字を学ぶ。個別指導や相談が受けられる時間も設ける。
受講生は希望する講座を自由に選択し、自分のペースで学べるが、学校教育法が定める正式な「学校」ではなく、自治体が公民館などで開く教養講座と同じ位置づけのため、正式な「卒業証書」はない。
きのくに青雲の開講式は76~38歳の6人が出席した。宮崎泉・県教育長らが見守る中、南谷為朝校長が「この教室での出会いを大切にし、学ぶ喜びを味わい、教養を高め、さらに豊かな人生が開けることを祈っている」と歓迎し、講座を担当する講師を紹介した。受講生は順番に決意の言葉を述べた。
開講式を終えた和歌山市朝日の味村博代さん(73)は「すっかり忘れてしまった数学や英語の授業を聞けるのが楽しみ。車を運転して通学するのは大変だが、先生にはあわてず頑張りましょうと言っていただいているので、じっくり学んでいきたい」と話した。
各校は引き続き受講生を募集している。問い合わせは県教委生涯学習課(073・441・3719)へ。