勾留中に医師死亡 奈良検審が不起訴相当の議決

平成22年に奈良県警桜井署で勾留中の男性医師=当時(54)=が死亡したのは取り調べ中の暴行が原因だったとして、特別公務員暴行陵虐致死罪で告発されていた警察官2人を不起訴とした奈良地検の処分について、奈良検察審査会は2日までに「不起訴相当」と議決した。検審は議決書で「不起訴処分の裁定を覆すに足りる証拠がない」としている。8月28日付。
男性医師は22年2月、同県大和郡山市の医療法人雄山会「山本病院」(廃院)で担当した肝臓の手術ミスをめぐり、業務上過失致死容疑で逮捕され、勾留中に桜井署で死亡した。
死因は急性心筋梗塞と判断されたが、家族の依頼で遺体の鑑定書を調べた岩手医大の出羽厚二教授(法医学)が、取り調べ中の暴行が原因として特別公務員暴行陵虐致死罪で奈良県警に告発。県警は29年、「暴行は認められなかった」とする捜査結果の書類を地検に送付した。奈良地検は今年4月に不起訴としたが、遺族らが処分を不服とし、6月に検審へ審査の申し立てをしていた。