昨年7月の西日本豪雨で土砂崩れ被害を受けた北九州市八幡東区の市立祝町(いわいまち)小学校(児童104人、本庄裕子校長)で、4年生13人がプログラミング教材を使い、校区内の防災情報をまとめた電子地図を作った。地図大手ゼンリン(同市)が協力し、児童が調査した校区内の危険箇所や現場写真を地図上に表示できるようになっている。住民ら約30人を招いて発表会も開き、災害に備える大切さを改めて訴えた。
傾斜地が多い八幡東区では、西日本豪雨で数十カ所の土砂崩れが起きた。土砂災害警戒区域内にある同小でも裏山が崩れ、児童が普段使う校舎昇降口に土砂が迫った。このため学校は周辺を立入禁止にし、昇降口近くにある下足箱は現在も使えない。学校近くの川も氾濫し、防災は児童らにとっても身近な問題だった。
4年生は6月、総合的な学習の時間を使って校区内を歩き、土がむき出しのままの斜面や1人ずつしか通れない住宅地内の細い階段など、避難時に注意が必要な場所をピックアップ。写真を撮影し、過去の大雨被害の状況を住民に聞くなどして情報を集めた。
一方、地図を活用した教育サービスの事業化を構想するゼンリンは、写真・コメントの挿入や座標設定などコンピューターへの指示をあらかじめまとめ、簡単な操作で地図上に情報を表示するプログラミング教材の開発を進めている。その実証実験の一環で、2020年度のプログラミング教育必修化に先行して取り組む同小に教材ソフトを提供した。
児童らは教材ソフトを使ってパソコンに指示を出し、自分たちが集めた情報を一つ一つ電子地図に落とし込んだ。今月16日に開かれた発表会では、パソコンでソフトを操り、大型モニターに映した地図で調査結果を説明。写真や説明を表示させながら「一人一人が危険な場所を知っておくことが大事です」と訴えた。発表会後、中田帆乃さん(10)は「コメントの入れ方が難しかったが、話し合って完成させることができてうれしい」。藤原孝介さん(9)は「普段歩いている場所も細かく見ると危ない場所があって驚いた。学んだことを生かして地域を守っていきたい」と話した。
プログラミングも防災も今後の小学校教育の重要課題。今回の学習について本庄校長は「どの場所を取り上げ、どう表現するかなど児童たちが話し合って進めていた。深い学びになったのでは」と手応えを語った。発表会に参加した住民の星隈寛人さん(85)も「プログラミングを使う姿が頼もしい。危険な場所もよく調べ、勉強になった」と目を細めていた。【井上卓也】