10月22日、天皇陛下が国内外に即位を宣言される「即位礼正殿の儀」が皇居・宮殿で行われた。「御帳台(みちょうだい)」にお立ちになった雅子さまの緊張された面持ちは、深く印象に残った。
夜に行われた祝宴「饗宴(きょうえん)の儀」では、ゴージャスなローブデコルテをお召しになった雅子さま。光沢感のある素材と、バラの花がデザインされたようにも見えるフリルがとても華やかだった。
天皇皇后両陛下が出席者からあいさつを受けられる中で、オランダのアレキサンダー国王夫妻との再会の場面からは、双方の喜びが伝わってくるようだった。2013年春に、アレキサンダー国王の即位式へ出席されたことが、長期療養中の雅子さまにとって大きな自信につながったと解釈している関係者は多い。出席を後押ししたのは、民間出身で元銀行員のマキシマ王妃(当時は皇太子妃)からの直接の電話だったと言われる。
雅子さまが即位式でお召しになったのは、淡いアイボリーのローブモンタントだった。オランダご訪問を直前に決断されたことから、新調されたものではなく、10年以上前のオートクチュールだったという。
もう1着、雅子さまが節目にお召しになったドレスと言えば、トンガ王国の国王ツポウ6世の戴冠式を思い起こす。2015年7月、雅子さまにとってオランダ以来約2年ぶりの海外ご訪問となった。
この時は、ベージュのローブモンタントを選ばれた。レースの美しさが際立つデザインで、柔らかな色使いから一見控えめな印象を受けるが、華やかな雰囲気は「饗宴の儀」のローブデコルテに通じるものがあったように思う。
10月22日の夜、「饗宴の儀」は23時20分に終わり、両陛下は日付が変わる前にはお住まいの赤坂御所へお帰りになったようだ。この日の儀式を乗り切られたことが、また一つ雅子さまの自信となったのではないかと拝察している。
翌日の23日、15時から赤坂御所で天皇皇后両陛下主催の茶会が催された。「即位礼正殿の儀」に参列した国王や王族に感謝の気持ちをお伝えになるためだという。
雅子さまは、シャンパンゴールドのスーツをお召しになっていた。ジャケットの襟にほどこされた遊び心を感じさせる地模様や、チュールレースがあしらわれたように見えるスカートからは、フォーマルな場でありながら、前夜の「饗宴の儀」とは一転してリラックスされた雰囲気が感じられた。玄関ホールで出迎えられる時、雅子さまが打ち解けたご様子で目を見開かれる一幕などもあり、終始にこやかな表情を浮かべられていた。王族らからの祝意を実感されたからではないだろうか。
この茶会には、秋篠宮ご夫妻をはじめとする皇族方も出席され、旧知の王族が多いという上皇ご夫妻も途中から加わられたという。美智子さまは和服をお召しになっていたようだ。上皇ご夫妻には、連綿と続く各国王室との交流を見守られたいという思いもおありだったのだろうか。
実は前回の「即位の礼」に際しては、天皇陛下(当時)と美智子さまが国王らを赤坂御所へ、皇太子さま(当時)が王族をお住まいの東宮仮御所へ招いて茶会を催されたという。赤坂御所には秋篠宮ご夫妻、紀宮さま(現・黒田清子さん)らが、東宮仮御所には常陸宮ご夫妻らも懇談に加わられたようだ。
しかし今回は、赤坂御所へ一堂に会することになった。現在、成年の男性皇族は秋篠宮さまと常陸宮さまのお2人のみで、二手にわかれて茶会を催すことが現実的に難しいという事情があったのではないだろうか。来日した国王や王族に対し、男性皇族による空港などでの出迎えと見送りも今回は行われないという。
今年2月の誕生日会見で天皇陛下は「雅子自身もいろいろ海外での経験もありますし、このグローバル化の時代にあって、国際的な取組など本人だからできるような取組というのが、今後出てくると思います」と雅子さまの海外経験について強調されていた。皇后陛下となられた雅子さまが、国際親善の場で時には通訳を介さず会話をされる堂々としたご様子から、これまでのご経験やキャリアが存分に生かされていると感じる人は多いだろう。
一方で、こうした接遇の場面にも「皇族の減少」という現状が映し出されていると言える。両陛下と秋篠宮家を中心に、今後はどのように公務を分担されていくのだろうか。
「饗宴の儀」は10月中にあと3回開かれ、来月にはパレード「祝賀御列(おんれつ)の儀」などが予定されている。
(佐藤 あさ子)