土砂崩れが起きた岩手県宮古市田老の通称「五天王地区」で、民家5世帯中3世帯が慣れ親しんだ土地に見切りを付けることを決意した。
移転を決意している一人が、大棒美喜子さん(88)。台風が近付いた13日未明に1階の寝室で就寝中、地震のような音で目が覚めた。寝室と居間に大量の土砂が外壁を突き破って入り込み、柱5本が折れるなどした。
裏山が高さ約20メートル、幅約15メートルにわたって崩れ落ちていた。ベッドがもう少しずれていれば、土砂に埋まるところだった。地域の宿泊施設で共に避難生活し、別の場所での新築を検討している長男(68)の意向に従うことにした。
大棒さんの上隣に住む92歳と89歳の夫婦も地元を離れる。被害は免れたが、大棒さんとは同じ裏山を背負い、いつ何時、災害に遭うかもしれない。心配して駆け付けた長女(68)の話を聞き入れ、一緒に東京で住むことにしたという。
五天王地区で被災したのは2世帯だが、少なくとも3世帯が引っ越しを決めた。同地区は県の急傾斜地崩壊危険区域に指定され、新増築などに制限があるという。【鬼山親芳】