【ジャカルタ時事】昨年10月に189人が犠牲になったインドネシアの格安航空会社ライオン航空JT610便の墜落事故で、国家運輸安全委員会は25日、調査結果を公表した。事故機の「ボーイング737MAX8」に導入された自動制御システムの欠陥を指摘。整備ミスなども重なって墜落を招いたと結論付けた。
欠陥が指摘されたのは「MCAS」という安全システム。大きなエンジンを搭載したMAXは機首が上を向きやすいため、自動で機首を下げるよう制御する機能だ。しかし、事故機のシステムは、機体の傾きを計測するセンサーに不具合があったため誤作動が発生。不必要な機首を下げる動きを繰り返して失速、墜落したとされる。
運輸安全委は調査報告で、MCASの設計と、それをチェックした米連邦航空局(FAA)の認証が「不適切だった」と判断した。さらに、非常時マニュアルや乗務員の訓練で、MCASに関する情報提供がないことも問題視。「誤作動への措置を困難にした」と分析した。
ライオン航空については、センサーの交換時に不具合を見逃した点や、飛行と整備の記録が欠けていた点を事故の要因として挙げた。
JT610便は昨年10月29日朝、首都ジャカルタ近郊のスカルノハッタ空港を離陸し、間もなくジャワ島北部沖に墜落。乗客乗員は全員死亡した。今年3月にはエチオピアでも同型機が墜落し、157人全員が死亡している。ボーイングはこの後に安全システムの欠陥を認めてソフトウエアを修正したが、「MAX」は世界中で運航停止となった。