有名私大がリクナビ絶縁明言「信頼関係なくなった…今後一切紹介しない」 内定辞退率販売問題

就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアが、学生の「内定辞退率」を複数の企業に販売していた問題で、大学側がリクナビを「辞退」する動きが相次いでいる。夕刊フジが東西の有名私大を直撃したところ、複数の大学が学生にリクナビを推奨しないと判断、「今後も一切紹介しない」と絶縁を明言する担当者もいる。
リクナビをめぐっては、就職活動中の学生の個人情報を人工知能(AI)で予測し、学生への説明が不十分なまま大企業に販売、データ算出のために7万4878人分の情報を用い、利用者のうち7983人が同意を得ないまま、トヨタ自動車やりそなホールディングスなどの大手企業に販売していた。
これに伴い、政府の個人情報保護委員会はリクルートキャリアに初の是正勧告を行った。メガバンクなど13社が親会社のリクルートホールディングスの株を売却することも話題となった。
就活サイト最大手、リクナビが不祥事で混乱するなか、2021年卒の学生に向けた大学の説明会はこの秋から本格スタートする。説明会では、就職情報サイトについても紹介されるのが通例だが、関西学院大学キャリアセンターは「現在の状況を受けて調査している段階だが、少なくとも今年は学生に(リクナビを)紹介する予定がない」と回答した。
中央大学キャリアセンターは「今後も一切紹介しない」と厳しい判断を下す。同センターの池田浩二副部長は、「信頼関係がなくなった。学生を守る立場として、たとえ1件でも問題があれば、学生、父母に安心してもらえないので紹介はできない」と憤る。同センターは例年、説明会で学生に配布していたリクナビのパンフレットを配布せず、「業界研究」などリクナビに依頼していた説明会についても今後一切依頼しないのだという。
池田氏は「リクナビの情報の販売先は大手企業ばかりで、難関大の学生の情報が販売対象になっていたと予測できる。学生の企業に対する希望順位が分かってしまい、入社後に苦しむ恐れもある。今回、問題が明るみに出なければ(ビジネスとして)拡大していたのではないか」と憤る。同センターには内定済みの学生から心配する声があがっているという。
ほかの主な私大に聞くと、慶応大は「回答を差し控える」、早稲田大は「マスコミ各社へ積極的に対応する予定はない」、関西大は「学生に向けた就職情報サイトの紹介をしていない」、同志社大は「問題が収束しておらず、回答しかねる」というものだった。
青山学院大、法政大、明治大、立教大、立命館大は、担当者不在のため期限までに回答がなかった。
取材に対し、「日に日に色んなニュースが出るので、事実がどれか分からない」と戸惑う大学も少なくなかった。
将来を担う学生を不安に陥れた罪は大きい。