被災地に大雨、不安な夜=「二の舞いにならない」と避難―福島

台風19号で土砂災害や浸水被害が相次いだ福島県では、25日夜に激しい雨が降った。いわき市では市内を流れる夏井川や宮川が氾濫し、被災者らは不安な一夜を過ごした。
台風19号で夏井川の堤防が決壊するなどして、8人が犠牲になったいわき市。川沿いに住む伊藤幸一さん(78)は、妻と共に市内の娘宅に避難した。「台風の時の苦い経験がある。二の舞いを演じたくなかった」と話す。
19号の襲来時は避難せず自宅2階で過ごしたが、駐車場に止めていた車4台は水没して廃車となり、1階の家具なども泥水をかぶった。今回は市内全域に避難指示が出されたことを受け、すぐに避難を決断したものの、「自宅の様子もやはり気になってしまう」と悩ましそうに語った。
阿武隈川の氾濫により、市街地で大規模な浸水があった本宮市では、本宮第一中学校に約30人が身を寄せた。宮本孝子さん(78)は「せっかく片付けた自宅がまた浸水するのでは」と不安だったという。
19号では、自宅が約1.3メートル浸水し、1階部分は泥だらけに。13日から避難生活を送るが、日中は自宅に戻って掃除してきた。「川の氾濫も心配だったが、大丈夫で良かった」とほっとした表情を浮かべた。