福島県浜通り地方を襲った記録的な大雨から一夜明けた26日、河川が氾濫した相馬市の海水浴場で、市内に住む60歳代の女性の遺体が見つかった。女性は25日夜、30歳代の長男と車で移動中に水に流されたとみられ、県警などが長男の行方も捜している。一方、いわき市でも河川が再び氾濫し、土砂崩れで2人が負傷した。台風19号の被害から2週間。避難所では繰り返される無情な雨に、被災者が疲労の色を濃くした。
福島地方気象台によると、相馬市成田では25日午後4~10時頃のわずか6時間で、平年10月の1か月あたりの降水量(168・4ミリ)を上回る195・5ミリの激しい雨が観測された。県河川整備課によると、市内を流れる小泉川では、台風19号による決壊部分を修復するため、土のうを積んでいた部分で越水し、松川浦付近が浸水した。
同日午後9時25分頃には、松川浦そばの温泉旅館から「従業員の女性と連絡が取れない」などと119番があった。相馬署や相馬地方広域消防本部が捜索したところ、26日午前8時半頃、旅館の北東約1・5キロ先にある原釜尾浜海水浴場の砂浜で、連絡が取れない60歳代の女性の遺体が見つかった。
相馬市によると、女性は旅館の南約3・5キロ先で30歳代の障害者の長男と2人暮らし。勤務を終えた25日夜、雨に備えて旅館に避難しようと、自宅に長男を車で迎えに行ったという。
26日朝には、旅館と女性宅の間に位置し、氾濫した小泉川近くの水田で長男の軽乗用車が見つかった。市などは、帰宅した女性が長男の軽乗用車に乗り換え、2人で旅館に戻る途中に水に流されたとみている。
市内で飲食店を経営する男性(67)は、繁忙時に女性が「食事の盛りつけなどを手伝ってくれた」と話す。
市内では台風19号の影響で断水が発生した。心配した男性が10日ほど前に「水、大丈夫か」と女性に電話すると、「配布してくれているから大丈夫」と返ってきたという。男性は「まさかあれが最後の電話になるなんて」と言葉を詰まらせた。
県警や消防、自衛隊による長男の捜索は27日、海上保安庁も加わって、女性の発見場所や松川浦などを中心に行われる。