石破氏、浮上の目あるか=存在感低下、発信少なく

自民党の石破茂元幹事長の存在感が一段と低下している。
党への貢献度が試される先の参院選応援では目立たず、内閣改造に向けた積極的な動きも見えない。政権中枢の菅義偉官房長官らが「ポスト安倍」候補として脚光を浴びる中、浮上の目はあるのか。
石破氏は1日、神奈川県小田原市で開いた派閥研修会であいさつし、「自民党は次の時代に責任を持たねばならない」と強調。この後、記者団にポスト安倍への意欲を問われ、「常に準備はしていかねばならない。政策を錬磨し、支持を増やす努力はこれから先もしていきたい」と語った。
参院選前は党の結束を優先して安倍晋三首相への批判を封印した石破氏。選挙中は10都県に応援に入ったものの、「令和おじさん」として知名度が急上昇した菅氏らの陰に隠れる形になった。
選挙後に再開した政権批判が活発になったともいえない。むしろ最近では、自らのブログで韓国との関係悪化の原因が日本にあると受け取られかねない発信をして、党内の強い反発を招いたことが話題になった。
見るべき点が乏しい状況に、竹下派参院議員は「石破氏の魅力が落ちてきている」と指摘する。竹下派の参院側は昨年9月の党総裁選で派閥としては唯一、石破氏を支援したが、同派では「ポスト安倍」候補として加藤勝信総務会長らが浮上。「次は期待できない」(石破派中堅)との声も出ている。
こうした中、党内の石破氏包囲網ともいえる状況を打破する切り札として石破派内で期待が広がるのが、小泉進次郎衆院議員との連携だ。
小泉氏は2012年と18年の総裁選で石破氏に投票したことを選挙後に明らかにした。19人の石破派は自前で推薦人をそろえられないが、同派幹部は「小泉氏が出馬しない場合、初めから味方になってくれれば景色が変わる」と語る。
一方、石破派会長代行の山本有二元農林水産相の地盤の衆院高知2区に、高知県の尾崎正直知事が自民党公認で出馬を目指す意向を表明した。尾崎氏は二階俊博幹事長に近く、今後は二階派との火種になる可能性がある。阻止できるかも石破氏の求心力に影響しそうだ。