滋賀県内の信号機のない横断歩道で、車が歩行者を優先させて一時停止した割合が11・3%と全国平均(17・1%)を下回ったことが、日本自動車連盟(JAF)の調査で分かった。昨年の8・3%から改善したものの、依然として約9割の車が一時停止していない状況。県警は「ドライバーには信号機がなくても横断歩道は止まる場所だという意識が薄いのではないか。人の命を奪ってからでは取り返しがつかない」と警鐘を鳴らしている。(清水更沙)
■速度は落とすが…
今月中旬、大津市の天孫神社前の信号機のない横断歩道。神社に孫(4)と参拝した後、横断歩道を渡ろうとしていた近くに住む女性(71)が「車がなかなか止まってくれない」とこぼしていた。
この横断歩道は高速道路へ続く県道付近に設けられているため、トラックやバスなどの大型車を含めて1日中、車通りが多い。近くに立ってしばらく眺めていたが、横断歩道に人が立っているにも関わらず、ほとんどの車が速度は落としても一時停止はしなかった。
道交法では、横断歩道を横断しようとする歩行者がいる場合、車両は一時停止して歩行者を優先させなければならないと定められている。違反すると「5万円以下の罰金または3カ月以下の懲役」が科されるが、実際は一時停止をしない車が多く、歩行者が車に道を譲っているのが現状だ。
■自分勝手な考え
今回のJAFの調査は8月の平日午前10時~午後4時に、都道府県ごとに2カ所の信号機のない横断歩道で実施。JAF職員が1カ所につき50回横断し、車が一時停止するかを調べた。
調査の結果、全国平均は昨年の8・6%から17・1%に上昇。滋賀は8・3%から11・3%に改善し、全国32位に。今年の1位は長野県で68・6%、最下位は三重県で3・4%だった。
JAFによると、29年に行った調査では、一時停止しない理由について「自車が停止しても対向車が停止しないから」「後続に車がおらず、自車が通りすぎれば歩行者は渡れるはずだから」といった声がドライバーから上がったという。
今年に入ってから16日までに、県内で発生した交通事故で死亡した人数は47人で、前年同時期の約2・5倍となった。このうち道路横断中の事故が11人と約2割を占め、県警交通企画課の担当者は「ドライバーの自分勝手な考えが事故を引き起こす」と強調する。
■取り締まり強化
道路横断中の死亡事故が増えていることを受け、県警は「歩行者妨害」の取り締まりを強化。今年に入ってからの摘発件数は2400件と、前年同時期よりも約1300件増加した。
また、県警は横断歩道での歩行者優先を掲げる「横断歩道利用者ファースト運動」として各署管内で街頭啓発を行うなどして、ドライバーへの周知にも力を入れる。
同課は「何気なくかもしれないが、一時停止しないのは違反行為だということをドライバーに自覚してほしい」と呼びかけている。