愛知県稲沢市で2016年2月、全焼した民家から住人の角田幸司さん(当時60歳)が刺殺体で見つかった事件で、殺人と非現住建造物等放火容疑で逮捕された元妻の介護ヘルパー菅井優子容疑者(51)(名古屋市南区)が、角田さんが死亡してから火災が起きるまでの間に角田さん宅を訪れ、配達された新聞を処分していたことが、捜査関係者への取材でわかった。県警は一人暮らしだった角田さんが生きているように装う目的だったとみている。
角田さんは同月6日午前、市内のスーパーを利用したことが確認されているが、県警は自宅周辺の防犯カメラ映像などから、この日に殺害されたとみている。さらに火災が発生する同13日まで、菅井容疑者が当時住んでいた名古屋市名東区から角田さん宅を複数回訪れていたことも判明。たまっていた数日分の新聞を処分しており、殺害の発覚を恐れたとみられる。
一方、名古屋地検は29日、菅井容疑者と、当時の交際相手で美容師の浅野勉容疑者(65)(愛知県知多市)を殺人と非現住建造物等放火、死体損壊の罪で名古屋地裁に起訴した。
起訴状では16年2月6日、角田さんの胸を刃物で複数回刺して殺害後、同13日に室内に積んだ衣類に放火し、角田さんの遺体を焼いて損壊したとしている。捜査関係者によると、菅井容疑者は黙秘、浅野容疑者は「菅井容疑者から殺害を依頼された」などと供述し、起訴事実を認めているという。